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ゴールデンカムイ 尾形百之助について

以前私は「どの作品も親と子の関係に一度は引っかかってしまう話」という記事を書きました。

この中で尾形と母親、尾形と勇作(異母兄弟)の話題を挙げたのですが最近ものすごい解釈に出会ってしまったので記しておこうと思います。
もういい加減しつこいよ…って感じかもしれませんが気が向いた方はまたお付き合いいただければ幸いです。

!!!当然のようにネタバレあるのでそこもご注意を!!!



尾形と勇作
私は以前の記事で最期の最期で尾形が勇作の愛情に気付いたと書いたのですがそもそもあそこにいた勇作さんは尾形の幻覚(本物の勇作さんは尾形の手によってとうの昔に亡くなっている)という部分を取りこぼしていました。
そして私自身「勇作さんが尾形を愛してくれていたらいいな~」と思っていたので願望が読む力を鈍らせた感じです(笑)
ここから先には「尾形は勇作の愛に救われた」と信じている人にはめちゃくちゃ酷な内容を含みますので閲覧は自己責任でお願いします。



尾形と勇作
アシㇼパさんに毒矢を撃ち込まれた尾形は自問自答をはじめます。
その際に「勇作だけが俺を愛してくれた」と出てくるのですがそのコマの勇作さん、指をばってんにしているんですよね。
尾形や勇作さんを中心に物語を見ていた人はすぐにそこに着目していました。
が、私はとりあえず物語がどうなるのかハラハラしすぎて何回か読み返した後に「ん?」ってなった勢です。
このばってん
尾形を愛しているのは自分(勇作)一人じゃないですよ
という解釈と
自分(勇作)は尾形を特別愛していたわけじゃないですよ
という解釈を見かけて、「うあ~~~」ってなりました(笑)
いや…後者だったら笑い事じゃないですが……。
でも私は「自分(勇作)は尾形を特別愛していたわけじゃないですよ」がしっくっりきてしまったんです…。
もちろん勇作さんが尾形に対して何の感情も持っていなかったことはないはずです。
立場も考えずに「兄様」と呼ぶ気さくな勇作さんは本当に光属性の方で「兄弟とは仲睦まじくあるべきもの」とかそういう善の考えに基づいて動いていたというか……なので「兄の存在を好意的に捉えようとした」結果ああいう接し方になったのかな~と。
きっと誰に対しても優しいんですよ、勇作さんは。
なので尾形に限らず「特別」な感情を向けた人はいなかったのでは?
上手く説明できないのがもどかしいのですが「みんな好き!!」タイプの人だった気がするんです。
好き嫌いを言うほど世の中を知らなかったし、周りからの期待も感じていた。
それに応えるべく「聯隊旗手に相応しい清廉潔白な人物」であろうとした。
誰にでも分け隔てなく親切なのも勇作さんの中では「聯隊旗手に相応しい人物像」だったのではないでしょうか。
もちろんこれは私が行き着いた結論なので「いやいや勇作さんは本当に尾形を特別視していた!」というのも全然アリです。
愛してくれていた派の方々はばってん勇作さんのコマにいる菊田さんに注目されていました。
仲睦まじい兄弟を菊田さんが見守っている、つまり菊田さんも尾形に好意的な感情(自分自身が弟をなくしているので心配したりとか)を持っていたんじゃないかという解釈には「なるほどー!!」ってなりました。

けれど私は博愛主義な勇作さん(尾形だけじゃなくみんなに親切。アガペー的な)が一番しっくりきました。

で、尾形の最期をヴァシリが描いてくれたことにも綺麗に繋がる!と気付きました。


尾形とヴァシリ・パヴリチェンコ
原作読了済みの方はヴァシリが「山猫の死」という作品を世に残してくれたことはご存じですよね。
私はお互い狙撃手として打ち合った二人にしか分からないものがあったんだろうなぁ…ぐらいの解釈でした。
ですがヴァシリのフルネームの中にヴァシリ・パヴリチェンコ、「アシㇼパ」が含まれるんですよね。
ここにはすぐに気付いたんですがとりあえず最終回おめでとう!野田先生、お疲れ様でした!!ってテンションで色々すっとばしてお祭り騒ぎ(心の中で)でした(笑)
鯉登少尉と月島軍曹の関係性が大好きなのでそこ二人が生き残ってくれたこととか、杉元とアシㇼパさんが共に歩んでいくことを決めたとかの方に思い切り気を取られていました。
単行本の加筆修正込みで読み直し、ようやく「大団円だったのか?」な尾形周辺に落ち着いて目を向けることができたような気がします。
勇作さんは一般的な感覚に沿って尾形を気に掛けてくれていた人ならヴァシリは敵だったけど尾形の唯一の理解者だったのかな、と。
作中で尾形の試し行動はたくさん見られますが勇作さんへのそれは何というかもう………あそこまでされて動揺しないで受け止められる人間いないだろうってレベルです(笑)
事実勇作さんは思い切り戸惑っていらっしゃいました。
そして性善説に基づいて尾形に一生懸命向き合いました。
でも尾形は「そういうのは求めてないんだよな…」だった気がしていて…(何かしらの満足感を全く得てないかというとそうじゃないでしょうが試し行動はおさまらなかった)
尾形とヴァシリの間にそういう個人的な感情はありませんでした。
お互いを認め、真剣勝負をした仲というだけで。
それが逆に超絶シンプルで、良かったのかなと。
そして尾形が勇作さんと重ねていたアシㇼパさんの名前を持ったヴァシリ(ややこしいな笑)が最終的に尾形を救ったというのが現時点での私の中で一番しっくりきた答えです。
尾形がヴァシリの作品やそこに注いだ情熱、その後の行方を知ることはないでしょう。
勇作さんの愛に気付き(尾形の中の幻覚だったとしても)満たされて退場した(から大団円に含まれる)と信じています。
真実がどうであれ、です。


まとまりなさすぎて自分でもビックリですが(笑)忘備録として残しておきます。



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