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Terraforming Mars:Turmoil (動乱 上級拡張) レビュー

本日は、2月末に届きました『Terraforming Mars:Turmoil (動乱 上級拡張)』をレビューしたいと思います。
上級拡張の名に恥じない複雑さ、戦略性の広がり、今までの『Terraforming Mars』と全く違うプレイ感の本作、是非面白さが伝われば嬉しいです。

【Terraforming Mars:Turmoil ってどんなゲーム?】

『Terraforming Mars』シリーズの最新拡張です。
『Terraforming Mars』は2016年にFryxGamesから発行された人気シリーズで、今作も含め5作の拡張が発行されました。
この拡張が追加されることにより、第2拡張の『Terraforming Mars:Venus Nest』から追加された太陽系フェイズのステップに動乱が追加されることとなります。
早速、動乱ステップの詳細については触れたいところですが、まずはこの拡張から追加となったテラフォーミング委員会ボードと命題進行ボードについて説明したいと思います。

◎テラフォーミング委員会ボード

テラフォーミング委員会ボードには各プレイヤーの代議員と中立の代議員が配置され、大きく分けて5つのエリアが存在しています。
まず、中央の位置にあるのが議長席です。

議長席の上には現在の与党が掲げる政策タイルが配置され、その世代の間は効果が適用され続けます。
ゲーム開始時、議長席には中立の代議員を配置されていますが、政党が代わることによって今の議長は解任され、議席数を最も獲得している第一党の党首が議長席に着席します。
この党首とは次に説明する議長席の周りにある各党の代表を指しています。

代表になるためには、その政党に配置してある代議員の中で議席数(同政党に配置されたコマ数)が最も多くなければなりません。
誰も代議員が配置されていない場合は、配置した瞬間に党首となれます。
しかし、他のプレイヤー、又は中立の代議員がいる場合、現在政党内に配置されている党首と同色のコマよりも多く代議員を配置しない限り、党首になることはできません。
次にロビーです。

ここには各色1個ずつプレイヤーの代議員コマが配置され、次の世代でコストなしに配置することが可能です。
これは毎世代の終わりにある動乱ステップで毎回補充されます。
最後は企業と中立の代議員の控え室です。

企業の代議員を配置するには、ロビーにいる無料の代議員コマに配置するか、5MCを支払い控え室から代議員を連れてくる訳です。
一方、中立の代議員は後述する命題進行ボードのカード指示に従い、代議員を各政党に配置していきます。
代議員には影響力というパラメータが存在し、議長1点、第一党の党首1点、第一党に所属する代議員1点(2人以上所属していても1点)、合算して最大3点まで得ることができます。
影響力は命題解決時にプラス要素なら強化、マイナス要素なら緩和することができます。

◎命題進行ボード

このボードは『遠い将来の命題』、『近い将来の命題』、『現在の命題』の3エリアに分かれており、そこにはそれぞれ命題カードが1枚配置されます。
それらのカードは世代が進むにつれて『遠い将来の命題』『近い将来』の順に右方向へ進んでいき、最後に『現在の命題』まで行くと配置された世代の動乱フェイズでカード下段の効果が発動します。
また、前述の通り配置されるエリアによって中立の代議員が各政党に配置されるようになります。

◎動乱ステップの流れ
動乱ステップは太陽系フェイズの中に追加された新しいステップとなります。
太陽系フェイズは4つのステップから構成されており、ステップ3のコロニーレベル上昇などの次が動乱ステップとなっています。
動乱ステップも4段階に分かれており、ここからはそれぞれの段階について説明していきたいと思います。

①TRの見直し
全プレイヤーのTRが-1されます。

②世界的命題の解決
『現在の命題』に配置されたカード効果を処理します。
命題は恩恵を得られるものだけでなく、プレイヤーにとってマイナスになる効果も多くあります。

③新政府の樹立
現在の第一党の党首を議長席に移動させ、新与党が誕生します。

       ↓ ↓ ↓

また、第一党に在籍していた代議士は全員控え室に移動となります。
このとき、2番目に議席数が多い党が次の第一党となります。
新与党が誕生したことにより、全プレイヤーに与党ボーナスが付与されます。
各政党によってボーナスは異なりますが、大凡MCを追加で獲得できるといった内容です。
更に新しく議長となったプレイヤーはTR+1の恩恵を受けることができます。

④世代交代
命題進行ボード上のカードを隣のエリアにスライドさせます。

       ↓ ↓ ↓

このとき、『遠い将来の世界的命題』と『現在の世界的命題』で指定された党に中立の代議員を1名ずつ配置します。

◎ゲーム終了
議長、及び各党の党首となっているプレイヤーは、その人数分TRが上昇。

【オススメポイント】
・世界の命題
動乱ステップで発生するイベントも多種多様。
今まで全体に対する恩恵やマイナスの要素は少なかったため、とても新鮮ですね。
世界の命題というだけあって、効果が強力なものも多く、軽視していると取り返しのつかないことになってしまう可能性もあります。
プラスの効果は有り難く頂くだけなのですが、マイナスの効果となると回避するための方策を思案しなくてはならず、なかなかに苦しいです。
どんな作戦で攻略するか、考える時間が楽しいためオススメです。

・ロビー活動
動乱拡張導入当初、5MC使ってまで代議員を党に送り込むことはしないだろうと思っていましたが、実はそんなことはありません。
第一党をキープするため、または奪取するために代議員を送ることもしばしば。
人数が増えれば増える程にこの駆け引きは面白くなり、他のプレイヤーと協力して党を与党に押し上げるなんてことも起こります。
今までタイルの配置やプロジェクトカードによる攻撃などで、他のプレイヤーとの関わりはありましたが、ここまで強くインタラクションを意識したことはありませんでした。
新たな要素が加わり、魅力が倍加したように感じます。

【気になるポイント】
・ゲームの長時間化
拡張が追加される度にプレイ時間が長なるのは世の常ですが、今回の拡張が追加されたことで人数×30分は最低でもかかると考えて良いように感じました。
現在、3回程遊んでいますが、平均で4時間以上は覚悟した方良いと思われます。
元々、少しプレイ時間が長めなゲームですので、こちらの拡張を入れるなら今まで以上に誘い難い作品になりそうなのが残念。

・ゲームの難しさUP
ゲームとして新要素が増えたこともあり、難解さは上がったように感じます。
私自身は悩める要素が増えること自体大歓迎なのですが、見通しは圧倒的に悪くなったためゲーム中誰がリードしているのか全く分からなくなりました。
また、毎世代-1ずつ減少さるTR、マイナス要素の多い世界的命題と一見するとゲームの終わり自体も見えなく、遊び慣れていないプレイヤーからすると苦痛に感じるかもしれません。

【まとめ】
上級拡張と書かれているだけのことはある『Terraforming Mars:Turmoil』。
面白いのは間違い無いのですが、評価が分かれる作品であるように感じました。
個人的には好きなんですが、1回のプレイ時間が長過ぎるのはネックと言えます。
また、他の記事でも少しだけ触れていますが、今回の拡張が導入されたことによって、緑地タイルの配置や称号の獲得といった王道な戦法だけでは勝ち難くなったと思います。
特に毎世代TRが-1されるのがキツイ。
そのため、今まで以上に勝利点のあるプロジェクトカードの重要性が上がったように感じます。
戦略は、まだまだ研究が必要ですが何とか時間を見つけてリプレイしていきたいと思います。

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