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20代子なし女子が海外で不妊手術を受けた訳

みなさん、こんにちは🙋🏼‍♀️

様々な理由から、不妊手術(卵管を結んだり全摘することで妊孕性をなくす手術)を受けたいという方が日本にも一定数いますので、情報提供の意味も含めて、私が不妊手術した経緯や経過について何回かに分けてお話していこうと思います🙇‍♀️

まず、なぜ日本ではなく海外で受けたかというところですが、日本は本人の自由意思での不妊手術が制限されている世界でも数少ない国です。

日本には「母体保護法」という法律があり、不妊手術を受けるためには、複数人子どもを産んだ上で、配偶者に許可をもらわないと原則として不妊手術を受けること自体が難しいのです。

つまり、異性間での結婚をして、子どもを複数人産み育てるという いわゆる「伝統的家族観」に従わない人には、不妊手術を選択する選択肢すらないということです。

私のように子どもを持つこと自体を望んでいない人が不妊手術を受けることは、この国では許されないのです。

私は日本で生まれ育ち、幼い頃から自分の妊孕性・生殖能力に違和感や苦痛があり、不妊手術を受けたいと思っていた当事者のひとりです。

また、日本政府による女性の中絶や避妊周りの「産まない選択」としてのリプロダクティブ・ヘルス&ライツの侵害を目の当たりにし、この国でこれ以上この身体で生きていくのは無理だなと思った次第です。

小学校では生理は「お母さんになる準備」と教えられ、まるで私たち女の子の人生の延長線沿いに当たり前のように男性との結婚や妊娠・出産がある前提で、違和感や不快感を覚えました。別に女性同士で生きていっても、1人で生きても、良いはずなのに、と。
同時に、男性と結婚して、出産・子育てをするというのは私がほしい未来ではないとも思いました。

手術で妊娠しない身体になることが選べると知ったのは、高校生の時で、避妊法についての授業の時だったと思います。

同時に、子どもを産まない私が日本でこの手術を受けるのは難しいだろうということも分かっていたのですが、元々英語には問題がなかったため、海外の病院にお世話になろうと思いました。

はじめて将来不妊手術をしようと意識したのは、16~17歳くらいで、それからも「生殖能力のない体になりたい」という気持ちは変わるどころか、強くなるばかりでした。

「産む選択」は支援しても、この国は「産みたくない私」の「産まない選択」には手を差し伸べてくれることはないでしょう。

コロナで収入が減ったとき、いま何らかの理由で望まない妊娠をしてしまっても、中絶や避妊の産まない選択肢には保険が効かないし、国も助けてくれないんだよなーとぼんやり思いました。

「母体保護」の名のもと、女性が中絶することすら法的に「夫の許可」を得るように言われるこの国で、この身体で生きていること自体が恐怖であり屈辱であり不愉快でした。

日本では手術が受けられないけれど、生殖能力のある身体でいることが苦しくて仕方なかったので、精神的苦痛の緩和や繋ぎ的な意味でミレーナを入れつつ、就職とほぼ同時にコロナがはじまったので、収入が減ったり、渡航制限がかかったりする中で、コロナが落ち着いたら不妊手術を受けようと決め、色々な病院に問い合わせをしたり、オンライン診療を受けてみたり、情報収集をしつつ、1ヶ月に3万円くらいずつ積み立てして、費用を貯めていました。

2020年からお付き合いしていたアメリカ人のパートナー(現在の夫)には、当初から不妊手術をしたい旨を伝えていて、一番かつ唯一の味方になってくれました。

最初は私はタイで手術をしようと思っていたのですが、私が行ったこともない国に行くことを心配し、アメリカの保険を取得してくれたおかげで、結果としては自己負担0で手術を受けることができました。

私自身も気付かない間に母体保護法に毒されていて、不妊手術を受けたいと思うことをいけないことだと思い込んでいた節もあり、本当は悪いことではないはずなのに、不妊手術を受けたいという自分の気持ちに恥を感じ、手術を受けるまでは1人で完結させなきゃいけないと思っていました。

最初からパートナーは一生懸命味方になってくれていたのに、私は恥やスティグマの意識から、1人で解決しなきゃと思っていました。

だけど、今思うと、日本で生まれ育って、原則として私がしたい選択肢(子どもを持たずに不妊手術を受ける)が奪われているということは、
他の国で同じ手術を望む人と比べて、それだけでとてつもなく困難な状況に置かれている訳で、だからこそもっともっと人を頼っても良かったなって思います。

アメリカでは生殖可能年齢の女性が不妊手術を受けることは有り触れた選択肢で、年齢や子どもの数で法に阻まれるということもないので、20代や30代のチャイルドフリーの女性でも不妊手術を選択して、それを発信する人はそれなりにいます。

最初はビクビクしながら病院に行ったのですが、ジャッジされることもなく、普通の選択肢のひとつとして受け入れられていました。
お医者さんも、看護師さんも、パートナーも、誰も私の希望が「変だ」とは思っていませんでした。負の意識に苛まれていたのは、私だけだったんだと気が付きました。

日本では、女の子・女性は未成年のうちは保護者の同意、成人したら夫の同意と、常に自分の身体なのに、誰かに許可を取るという運用に慣れさせられすぎている、麻痺させられていると思います。

私も日本では、不妊手術について医療機関に問い合せた際、母体保護だ、子どもはいるのか、夫は同意しているかなど、まるで私が国や夫に仕える従属物で、1人で自分の身体に対して自己決定をすることが許されない「半人前」のような扱いをたくさん受けましたので、自分の意思が尊重され、自分の意思だけで手術を受けるというのは、日本で生きてきた私にとっては初めての経験でした。

自分の身体のことを、自分以外の誰かの同意を求められることなく、全て自分で決められたという経験は、日本では叶わなかったことですが、それだけでも日本育ちの私に力と自信、生きる糧をくれました。

日本にも、言えない・見えない、いないことにされているだけで、様々な理由から結婚や出産をせずに不妊手術を受けたいと望む人はいます。
そのうち気が変わるよなんて言われたり、日本では受けられないことに絶望したり、望まない妊孕性を持ち続けることを強要されることに恐怖や苦痛を覚えるかもしれません。

私は 自分と同じ思いを持つ方に、変わる必要なんてない、ありのままの自分でいて、そのままの気持ちで生きていい!と声を大にして伝えたいです。

そして、 そういう方たちのために、自分の不妊手術の体験や病院やドクターを探すのに役立つ情報を共有して、少しでも力になれればと思っています。

更新は亀ちゃんペースになるかと思いますが、ひとつずつ追ってお話していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします🐢

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