ニベア。
おばあちゃんは亡くなる1週間前から喋るのも疲れるくらいになっていたらしい。
それからあまり喋らなくなり、呼吸機をつけて少し苦しそうな様子だったと聞いた。
8人兄弟の唯一の娘、僕の母は仕事を少なくしておばあちゃんに付きっきりになった。
そしてある日、久しぶりにおばあちゃんがボソボソと何か話し始めた。
母は、遺言かもしれない!と、直感的に感じ呼吸機を外し自分の耳をおばあちゃんの口元に近づけた。
「し、、、、」
「し、、、」
母の顔に人差し指を向けて何か言っている。
「シミ」
母の頬に大きなシミができていた。
あはは、母ちゃんごめん。コレは薬飲んでも塗ってももう消えないわけさぁ!
「あい、そうねぇ、引き出しにクリームがあるから塗りなさい」
引き出しをスライドさせて現れたのはニベア。
これは世界のどんな病気も治すでしょう。
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