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1783回目:どこで差別化するか

昨夜たまたまテレビで見かけた
スポーツ写真家の小中村政一さん。

日本人で唯一、FIFA世界最優秀選手賞
授賞式に参加したカメラマンですが、
そこに至る戦術がすごかった。

勤めていた企業が倒産して
自身の今後について考えたときに、

10年以上続けてきたものは何か
と自問した答えがカメラだった。

写真やカメラについて学んでいた
わけではなかったけれど、

そうしてカメラマンを始めたところから
どうやってFIFA公式になれたのか。

スポーツカメラマンであるからには、
一番の頂点であるサッカーW杯や
オリンピックでの撮影を目指したい。

そのためには、FIFAの人と知り合いに
なることだ、と思い

2018年のロシアワールドカップに
自費で出向き、その会場でFIFAの関係者を
探したそうです。

話しかけた人数は2,000人。

そこでFIFAの人に出会い、
ベストショットを見せろと言われて
出したのは

サッカーの試合中の写真ではなく
決勝戦のパブリックビューイング会場に
何万もの人が集まっている写真。

FIFAの人なら、試合中の素晴らしい
写真を見飽きるほど見ている。

そんな「プロ」に試合の写真を見せても
刺さらないだろうと、ワールドカップの
熱狂を試合以外で伝える写真を見せた
そうです。

自費でロシアまで行くことも、
そこで2,000人に声を掛けることも
凡人からしたら驚愕なことですが、

見せる写真の選択の戦略にも
鳥肌が立ちました。

ちなみに、小中村さんの公式サイトでは

「サッカーロシアワールドカップに
自費撮影参加をする。そこでFIFAの
方と運命的な出会いがあり、FIFA THE 
BEST 世界最優秀選手賞授賞式に
日本唯一のカメラマンとして参加する。」

と記載されています。

運命的ではありますが、その運命は
間違いなくご本人が生みだしたもの。

さらに驚いた小中村さんの撮影の際の
戦術が、写ルンですを使うことでした。

ワールドカップ表彰式の後(のこと
だったと思います)、選手たちの
撮影をするのに写ルンですを使った
そうです。

そこには、世界中から来ている
大勢のカメラマンがいて、
選手たちにごつい機材のカメラを
向けています。

そこに、写ルンですを持った
カメラマンがいる。

ジャッ、ジャッと手動でフィルムを
巻いて、軽いカシャっという音がする
プラスチックのボタンのシャッター。

すると選手たちは面白がって、
笑顔を向けてくれるのです。

少しレトロっぽくなる
フィルム写真の質感もいい、と
小中村さんは話していました。

まさか、FIFA公式カメラマンが
写ルンですをそんな大舞台で
使うなんて想像しませんよね。

人と違うことを追及するとは
こういうことなのだと、
実例を見せてもらいました。

スポーツカメラマンという職業自体は
新しいものでもないし、
決してブルーオーシャンでも
ないでしょう。

人との差別化といっても、
必ずしもまったく違う領域の
ことを考えるのではなく
自分の領域内でできることがある。

一介のしがない会社員にでも
何かできることがあるのではないか。

そんな勇気を与えてくれる話でした。

【今日のまとめ】

人との差別化は、
新たな領域ではなく
自分の領域内でもできる。


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