短編小説  ふたりぼっち

「もしも世界が滅んだら、二人で生きてようよ」

君がいればそれだけで良いと思っていた。それは君も同じだった。
優しい人が損をして、真面目な人が不幸になる。
こんな嘘つきだらけで誰も信用できないような、そんな世界で君だけが光だった。

「幸せなまま死にたい。」
僕のささやかな、そしてとてもわがままな願い。
けど、最期の願いだった。
「でも、本当は、幸せなまま二人で死にたい。」
「いいよ、じゃあ死んじゃう?でもさ、もし、もしもだよ?この世界が滅亡したら、二人で生きたいな。」
「そうだね。二人だったらきっと、生きられる。大丈夫だよね。」
僕は、「君」というだけで君の全て過信してた。
「うん!絶対に大丈夫だよ。」
顔を見合わせて笑う。つよがりなんかじゃないよと。そして、こんな幸せな時間は永くは続かないんだろうな。と

学校で何かを学ぶ気もないし、親の尊敬するところもない。
君だけしか愛してない。君がいなきゃ愛じゃない。もう、大人の叫び声も聞こえない。 
とある廃墟の屋上。僕達はこれまでにない幸せを感じていた。
二人だけのひみつ基地。何かあればここにずっといた。もうこれも過去になる。それで良かった。誰かに邪魔される前にふたりだけのものに…

「もうすぐ鬼が来るよ。その前に」
「わかってるよ。ずっといっしょだよ。」
「当たり前。」

最期に聞こえた泣き声と叫び声、今まで無視してたくせに。気持ち悪い。
けど、もう全部どうでもいいんだ。
ずっともういないはずの君といられるから。

「生きてなくても心中できるんだね」
「まぁね〜」
「これで、ずっといっしょにいられるね。」
「うん。」
「見て、すごく滑稽」
「うわーやばー」
これで、これからもずっと二人だけの世界で笑っていられるね。



終わり良ければ全て良し? 幸せなんて誰もわか
                   らない

かわいそう?お前らがな?(笑)

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