短編小説  デキソコナイのナリソコナイ

「君は失敗作なんかじゃないよ」


僕のそばにはいつもロボットが居た。人型で、でも少しだけポンコツで、感情があったから気味が悪いと、親や兄からは嫌われていた。
「出来損ないには丁度いいだろう」
と言われ、昔から蔑まれてた僕とずっと側に居てくれた。そんな昔のことを夢に見る。

「ご主人様、元気ない?」
「元気だよ。大丈夫。」
「ヤすむコトもだいじでスよ」
「確かに、そうだね」
もう一人?は人外で何者なのかわからない。僕は別の家で1人隔離されている。だからもう一人増えたところで誰も気づかない。

ガシャン
「!?大丈夫?!」
「ご主人様、ゴメンナサイ。」
震えるロボット
「コーヒーを入れヨうとシタンでス」
「片付けるから、大丈夫だよ。それより怪我とかは?」
「大丈夫です…ご主人様、私達のこと捨てない?」
「捨てないよ」
「デキソコナイでも?」
「うん。捨てない。君たちこそ、僕のこと捨てないでね。」
小さな世界でしか生きられないのに、その小さな世界で置き去りにされた僕たちは今日もずっと未来まで満たされない心を埋めるように傷を舐め合って、必死に『今』を生きるんだ。



過去、トラウマ   籠の中の鳥

デキソコナイ ナリソコナイ  独り 人?

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