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生きた先に何が残るのか アニメ平家物語

どうか安らかに…

そう願わずにはいられない作品です。

2022年の1月、800年前の祈りの物語がアニメ化されました。放送の終了からかれこれ二ヶ月経ちましたが、この物語について記したいと思います。

繊細で美しく、消え入りそうな作画
画面から痛いほど伝わる感情、心の動き

この物語の持つ世界観、無常観をそのまま視覚化したような完璧な作品…どうにもならない時の流れに抗い続け、必死に生きて、命を燃やしきった平家一門の生き様に胸を打たれました。

学校で平家物語をやった時にどうしてもっと学ぼうと、深く知ろうとしなかったのか、いささか後悔して、今更ながら、便覧をめくったり、Wikipediaさんにお世話になったりしています笑

話し出すと長くなりそうなので、一番印象に残ったシーン「敦盛の最期」を少し…

(初めに、僅かな記述から、あのような話にしてくださり、ありがとうございました)

アニメ平家物語より

原作には、彼が何を思い、何のために覚悟を決めたのかが描かれていません。
しかし、このアニメを通して、
敦盛の背負い続けた思い、貫こうとした生き方
が見えた気がしました。

彼は最後まで「約束した」と言い続けていました。

いったい誰と約束したのか…
共に笛を奏で、そして、突然生涯を終えた清経のような気がします。

希望を持ち続けていた敦盛は、誰よりも明るくいました。九州から落ち延びることになり、失意の中を彷徨い続けていた清経に対しても、変わらず声をかけ続けようとします。

そんな中清経が、ある日、移動の最中に船から身を投げて亡くなりました。

その死後も普通に振る舞っていたけれど、彼の死を目の当たりにして、心が揺れたのかもしれません。

そして、一ノ谷の合戦で、落とした笛を探しに行った帰りに、熊谷直実と対峙して、覚悟を決め、勇ましく最期の時を受け入れました。

あなたの分まで生きる、頑張るよ…という清経への思いが「落とした笛を取り戻しに行く」という行動からみて取れます。

けれど、それは叶わなかった。ならばせめて…

二人が初めて会ったときから戦に対してやる気を見せ、武功を挙げたいと言って、最期まで戦い抜いた敦盛。
対して、武士の子ながらも風流を愛し、文化人として笛を奏でたのち船から身を投げた清経。

深い友情を育んだ二人は対照的で、選んだ選択は全く違います。けれど、自分の求めるものを探し、思う道を生きようとしたのは確かだと思います。

やりたい事も、見たかったものも、きっとたくさん残っていたはずです。
まだまだ10代の、これからという若者たちが過酷な運命の中を生きていくのは相当なもので、まして、彼のように覚悟を決め、死を受け入れるのは凄いと思いました。

敗者の歴史というのは普通、都合よく書き換えられたり、そもそも歴史の中で深く掘り下げられることがなかったりするものです。
主人公びわのように、落ちていきながらも、気高く、強くいた平家方の物語を(創作はあれど)残して、語り継いでくれた人々、アニメ化に関わってくださった方々に感謝したいです。

改めて、
人の感情、人生はかけがえのない大切なもの
であると感じました。

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