かっしー

表現したいことを文字にする練習𓀥 甲状腺乳頭癌になったのでその事について書いてました。

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表現したいことを文字にする練習𓀥 甲状腺乳頭癌になったのでその事について書いてました。

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ガンになった28歳の冬の話

「癌ですね」 「ガーン」 まさかリアルでこの言葉を使える日が来ると思ってなかった。 2020年、わたしは癌の診断を受けた。 “甲状腺乳頭癌”という種類のもので、比較的若い人に多いらしい。進行は遅く、摘出手術で病巣を取り除いてしまえば生存率もほぼ100%、再発も少ないものだそうだ。しかも最近は内視鏡手術のおかげで、残る傷跡もまあ小さめなのだそう。(かしたに調べ) 事のきっかけというか、この病気が発見される元になったのは、年明けに体調を崩して受診した内科で首のリンパあた

    • ラーメンズと出会って英語力が伸びた話

      私が初めてラーメンズを観たのは、12年前にニュージーランドで暮らしていた時のことだった。 当時、17歳の私は語学留学3ヶ月目で、クライストチャーチからバスで1時間ほどの所にある田舎町にホームステイしていた。留学に来ていると言っても、特に英語が好きとか得意だったわけでもなく むしろ大の苦手で、中学時代に成績と内申点が悪すぎて公立高校への進学が難しいと担任に言われ、選んだ私立高校のカリキュラムの一環に[1年間の留学]が組み込まれているため仕方なく来た、という最低すぎるモチベーシ

      • 2020/5/19

        突然にやる気が満ち溢れてきたので、断捨離をすることにした。断捨離といってもバッサリ捨てられないタイプなのでどこかに売るなり譲るなりするつもりだ。 今回手をつけたのは本。わたしの本棚は、なかなかカオスだと思う。ラインナップは主に少年漫画、小説、タレントやアーティストのフォトブックや雑誌、留学中に買った英語版ハリーポッター、大学の課題図書だったインド文学、古代エジプト語の辞書、教職課程の本や実習で使った教科書、好きな舞台のパンフレットや戯曲集、ディアゴスティーニの週間古代ビジュ

        • 日に当たらない生活をすると人は死ぬかもしれない。つれえ!主に精神が!

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        ガンになった28歳の冬の話

          夏の延長戦

          2020年7月24日、今年初めて蝉の声を聞いた。なんだか例年より遅いんじゃないの、と思った。驚いたことに今年はまだ梅雨明けしていないらしい。8月まで梅雨が続く、そしてとにかく自粛が続く。こんな静かな夏は29年間生きてきたわたしの記憶にはない。 去年の夏は何をしてたかなあ。と思って、滅多に更新しないInstagramを覗いてみたら、6月に劇団四季の「ジーザス・クライスト・スーパースター」を観劇したと書いてあった。 https://www.instagram.com/p/Bz

          夏の延長戦

          人生プラマイゼロ理論

          2020年6月、大阪での治療が終わったかしたには、ようやく東京に戻って来た。東京の家の玄関を開けると、何だか懐かしいような新鮮なような、不思議な匂いがした。自分の部屋には、まだ冬用のもこもこパジャマが置いてあって、その空間だけ時間が止まってるみたいでとてもセンチメンタルな気分になった。 4月後半には退院していたので、本来ならもう少し早く東京に戻ってくるつもりだったけれど、コロナがここまで騒がれる中、県をまたいでの移動はあまり懸命ではない気がしていて、また自分の体力も落ちてい

          人生プラマイゼロ理論

          ガンになった28歳の冬の話(終)

          前回のあらすじ主治医の先生から「もう退院してもいいですよ」とのお墨付きをもらったかしたに。熱もあるし、体も重いし首も痛いけど、とりあえずもうお家に帰れるらしい。さようなら、わたしの病人生活。 ↑飼ってるハムスターに似てるから病院に持ってきたガチャガチャの景品。 入院6日目、退院する日がやってきた。その日の朝、ずっと下がらなかった熱が初めて36℃台に落ち着いた。看護師さんがめちゃめちゃ喜んでくれて、コロナのせいでごめんねーと頻りに謝ってくれて、「いえ、こちらこそずっと熱出し

          ガンになった28歳の冬の話(終)

          ガンになった28歳の冬の話⑮

          前回のあらすじ手術から早2日が経ち、個人的には一山越えたなあと思っていた矢先、「熱が下がらないので、念の為隔離します」と言われてしまったかしたに。隣のベッドのおばちゃんが「あの子コロナなの?」と言ってた。不安にさせてごめんなさい、コロナじゃないです。 ということで、入院してから4日目の朝、コロナ感染の疑いで個室に移動することになった。 「ベッドごと移動するので、荷物全部ベッドに乗せてくださいね」と言われたのでベッドを山盛りにして座って待ってたら、「柏谷さんは自分で歩いて下さ

          ガンになった28歳の冬の話⑮

          ガンになった28歳の冬の話⑭

          前回のあらすじ初めての全身麻酔、手術を済ませたかしたに。甲状腺手術の術後の辛さは傷口より何より尿道カテーテル。今でも思い出すと下腹部が気持ち悪い気がする。尿道カテーテルは二度と入れたくない。(大事なことなので) 入院3日目の朝6時起床、といっても夜通し起きてたので起床という感覚はない。朝になればカテーテルが抜ける!それだけを希望に1晩を過ごした。病室の電気がついてすぐ看護師さんが来てくれた。体温と血圧測定をする。でもまだカテーテルは抜いてくれない。なんでも、日勤の看護師さん

          ガンになった28歳の冬の話⑭

          ガンになった28歳の冬の話⑬

          前回のあらすじ色んな人から聞いていたし、自分でもいろいろ調べていた初めての全身麻酔。どんな感じなんだろう、と少しワクワクしてた。それはあまりにもあっという間で、例えるならそう、ポケモンハートゴールド/ソウルシルバーのレックウザ戦。 「柏谷さん、終わりましたよ!」と肩を叩かれて目が覚めた。手術時間は予定より30分早い2時間30分。わたしの人生においてここまで存在を信じられない2時間30分があっただろうか。ついさっきぼんやり照明を眺めてたのに、この一瞬で首切って癌取ってまた縫い

          ガンになった28歳の冬の話⑬

          ガンになった28歳の冬の話⑫

          前回のあらすじちょっとした小旅行気分で入院生活を始めたかしたに。そんなもんだから全く緊張感なく、手術当日の朝を迎えてしまった。ほんとに癌なの?ほんとに手術なの?ねえ? 病院で迎える初めての朝。この病院の起床時間は6時。消灯が22時なので、これを機にとても健康的な生活を送れそうだと思った。朝、体温と血圧を測定する。これは退院まで毎日続くみたい。本来なら朝は7時半から食事が配膳されるけれど、この日は1日絶食、手術3時間前からは水も飲んではいけないらしい。ちなみに、12時からの開

          ガンになった28歳の冬の話⑫

          ガンになった28歳の冬の話⑪

          前回のあらすじ手術の日程が決まり、入院までの日々を自宅で過ごしていたかしたに。コロナの影響で外出することもほとんど無く、いよいよニートの究極体を極めつつあった。今日から「入院/手術編」に突入だ!! 先に言っておくと、わたしは今まで大きな病気は疎か、インフルエンザすら十数年かかったことがなかったので、当然入院は初めてのことだった。入院当日の朝から荷造りをして(これは前日にやっておくべきだったと後悔した)、13時の受付に間に合うように慌ただしく家を出た。父の運転する車で、歌を歌

          ガンになった28歳の冬の話⑪

          ガンになった28歳の冬の話⑩

          前回のあらすじ彼ぴっぴから連絡こないから、かしたにから電話したヨ。そしたら次の日返事くれるって言ってたから待ってみたヨ。 病院に手術日程の伺いを立てた翌日、母と祖母と一緒に水戸黄門(主演 佐野浅夫)を観ていた時、また馴染みのない番号から電話がかかってきた。市外局番は大阪、間違いなく病院からだ。 一緒にいる祖母は、わたしが癌だと言うことを知らない。知ったら冗談抜きでショック死してしまうかもしれないので、今回の帰省の理由も良性の腫瘍の手術のためと伝えてある。うっかり八兵衛のわ

          ガンになった28歳の冬の話⑩

          ガンになった28歳の冬の話⑨

          前回のあらすじすぐ手術の日取りが決まるかと思いきや、彼氏、もとい担当の先生に「じゃあ、日程が決まったら電話するね!」と言われ2週間が経ったかしたに。そこから更に1週間が経ち、「あれ、わたし忘れられてない?大丈夫?」とメンヘラのような日々を過ごすのであった。 そんなある日、馴染みのない番号から電話がかかってきた。基本的に携帯に掛かってくる電話は留守電を聞いてからしか応答しないのだけど、この時ばかりは「いよいよ来たか…!」と身構えて、素早くメモを用意し軽く息を吸って通話ボタンを

          ガンになった28歳の冬の話⑨

          ガンになった28歳の冬の話⑧

          前回のあらすじ初めての大きな病院でたくさんの検査を受けたかしたに。検査ってなんだか大変だしお金も時間もかかる。病気なんてならない方がいいな。 2回目の来院は翌日。検査の続きと手術や入院の説明が主だった。3回目の来院はその1週間後。術式の説明を受けて、麻酔医からどのような処置を術中術後に取るかという説明だった。 耳鼻科で声帯に異常がないかを診てもらう。正直ここが1番気になっていたところだったので、「何ともないですね〜」という言葉に心底ほっとした。 あとは、レントゲンとCT。

          ガンになった28歳の冬の話⑧

          ガンになった28歳の冬の話⑦

          前回のあらすじ初めて演劇から逃げ出してしまったかしたに。でも、その選択は正しかったと思える。迷惑をかけてしまってごめんなさい。理解してくれてありがとうございます。このご恩は、必ず次の舞台の上でお返しを。 3月に出演予定だった舞台を降板したことで、わたしは当初予定していたよりも早く地元大阪に戻り、紹介状を書いていただいた病院を受診することが出来た。その病院は「大阪で甲状腺治療をするなら!」とおすすめされた所だった。持ち物は病理検査の結果が入った紹介状と予約表。いざ、戦場へ。

          ガンになった28歳の冬の話⑦