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078:高校生のゴルフ場デビューサポートを自分の息子で実践してみた

 最大10連休と言われる今年のゴールデンウィークも折り返し。しかしコロナ感染から既に2年が経過して「新しい生活様式」だとか「真の働き方改革」なんていう言葉が使われるようになっても、結局みんな横並びで休み取るのが好きなのね、なんて少し意地の悪い考えが頭をもたげたりもする。

 そんな私はGW中もいつもと変わらず遊んでるんだか仕事してるんだかわからない日々を送っているのだけれど、休み中にどうしてもやってみたいことがあった。

 それは、高校2年生になる息子のゴルフコースデビューを実現すること。

 厳密に言うと、息子は幼稚園児の時にブリヂストンスポーツさんが主催するジュニアイベントに参加していて既にコースデビューしているのだが、本人はその時の事を全く覚えていないので、記憶がない以上は彼の中でまだゴルフコースは未体験ということになる。

 彼とはたまーに練習場に連れて行って球を打たせる程度で、もちろん専門的なアドバイスもしたことがない。中学までサッカーをしていたのだけど高校のサッカー部には結局入らず運動をしていないので、たまには外の空気を吸わせたかったのと、生涯の趣味としてゴルフを楽しんでもらいたい、自分がそうだったようにゴルフを通して素晴らしい人達との出会いを実現して欲しい、なんていうちょっとしたオヤゴコロ的なものもあったりして。

 それともう一つ、今自分が仕事として関わっている新規ゴルファー創出・育成を目的とした(ゴルフ未経験者、ゴルフコース未経験者を対象とした)ゴルフコース体験会のスピンオフ的な企画として、夏休みや春休みの時期を活用した中高生向け「ゴルフ場体験会(学校の課題・宿題のテーマとしても成立するような体験機会の創出)のアイデアを温めているのだけれど、そのテスト的な狙いもあった。

 ちょうど休み中に、我等がマツケンさんとさわ子さんが勤務する千葉県のマグレガーカントリークラブ様にて開催されるウクライナを支援するためのゴルフコンペにお声かけ頂いていて、息子のコースデビューを実現すべく無理を言ってハーフラウンドの枠を空けて頂いた次第。

まさかの大渋滞

 コンペ(ラウンド日)は5月4日だったのだけれど、朝の渋滞が怖かったので前泊することに。15時の現地到着を目指して余裕を持って11時に西東京の自宅を出発したのだけれど、これが甘かった。2年ぶりに行動制限が解除された日本のゴールデンウィークの恐ろしさを嫌というほど味わうちことになろうとは。

普通に行けば高井戸ICからC2通って、アクアライン経由で市原鶴舞に向かう2時間程度の快適ドライブ

 先ずは首都高のC2で最初の渋滞に引っかかる。

トンネル渋滞はストレスも大きい

 が、このあたりは想定の範囲内。私が絶大な信頼を寄せるグーグル先生は「大井南で一旦高速を出て、一般道を通り羽田空港の到着ターミナル前を経由し、湾岸環八か
ら再び首都高に入りアクアラインに行きなさい」との指示。迷う事なくそれに従うが、羽田空港の到着ターミナル前の道路に入った途端、ピクリとも動かなくなってしまう。しかも3車線あるうちの一番右側の車線(首都高に入る車線)に入ってしまったものだから前後左を車に囲まれ脱出することもできない。結局10メートル進むのに1時間かかると言う地獄タイムを2時間弱過ごす羽目に。

 湾岸環八からの再入場を諦め、少しの車線のスキができたタイミングで環八方面を目指し横羽線の羽田から首都高に入り、多摩川を渡って大師ICで一旦高速を降りて、殿町ICからk6ルートでアクアラインに入るルートを選択。結果的にこれが吉と出た。アクアラインはノロノロ運転だったけれど、先程の羽田地獄に比べれば100倍マシ。結局マグレガーさんに到着したのは16:30過ぎだった。言うまでもなくブッチギリの最長不倒記録。本当ならば夕方ゴルフ場で軽く練習させて頂く予定だったのだけれど、私も息子もグッタリ状態だったのと夕食の時間も迫っていたので断念。

自称「無口な」生島プロw

 夜は、同じく翌日のプロアマチャリティーコンペ参加のため前入りしていた生島早織プロとマツケンさんの夕食に混ぜて頂いた。夕食はマグレガーさんから車で20分程度の場所「道の駅むつざわ」にあるオシャレなイタリアン。この道の駅、温泉が併設されていて訪問時には入場制限がかかっているくらい盛況だった。そして駐車場にはキャンピングカーが沢山停まっていた。日本の休日の過ごし方の変化を目の当たりにした気分。

絶好のゴルフ日和

 翌5月4日は、多少南からの風が強く吹くものの雲一つない絶好の「ゴルフ場デビュー日和」。当初はゴルフ場内にある練習専用ホールを使わせて頂く予定だったのだけれど、予約が埋まっているとのことなので無理を言って9ホールのハーフプレーの枠を空けて頂いた。前後の組がいる中で果たして本人が楽しく、また後続の組にも迷惑をかける事なくラウンドするという「二律背反」を実現できるのか?というのがラウンド前の最大の心配事だった。

 更に、今回のコンペのコンテンツの一つとして夕方に開催されるゴスペルライブ(ゴルフジャーナリストの小川淳子さんが所属している)のチームの監督さん(今回が約3年ぶりのゴルフ!)も我々と一緒にラウンドすることに。今だから正直に言うと、ラウンド前は不安しかなかったw。予め後の組の人達に今回息子が初ラウンドであること、進行が遅れてしまうかもしれないがその際はご容赦下さい、と挨拶をしておいた。その中の1人の女性には「このコースでデビューするなんて、なかなかのチャレンジャーね」と言われつつも快く受け入れて頂いた。

記念すべき初ティーショット。チョロだったが空振しないだけ大したもの
ゴスペル監督、国友さん。楽しくラウンドできました。有難うございました!

 私と息子はスクランブルプレーを採用。マイボールだけでホールアウトさせるのは進行上問題になる可能性も高く、本人もツライのではないかと。またこれまでのゴルフコース体験会実施の経験から、最初からガッツリ100%の体験をさせるよりも「腹八分」程度に抑えておいて、「もっとやりたい!」という気持ちにさせた方が継続に繋がるということもある程度は分かっていた。

 最初はなかなか球が当たらず四苦八苦していた2人だが、少しずつ慣れてきたのか進行が早くなってきた。最初の2ホールまでは後ろの組を待たせてしまったものの、3ホール目以降は一度も後ろの組を目にすることはなかった。この日何故か私のティーショットが好調で、スクランブル形式が上手くハマったという偶然もあったのだけれど。。。。

引率者は「お世話役」に徹する

 そしてあっという間に最終18番ホール。それまでチョロやどスライスが続いていた息子のティーショットが初めて芯を食い、ボールは谷を越えてフェアウェイへ。私も今日イチのティーショットが出て、本来ならば私のボールが「採用」となるのだが、息子から「父ちゃん、ここは自分のボールだけで回って良いか?」との提案が。後ろの組もまだティーイングエリアに来ていなかったので迷わずOKを出す。3打目を池に入れたりしつつも、5打目の7番アイアンでのショットが見事グリーンオンして「ミドルアイアンでのグリーンオン」の快感も体験できた様子。またその前のロングホールでは私の1打目と2打目がたまたま上手くいったこともあり「人生初のバーディパット」と「バーディゲット」も体験させてあげる事ができた。

 私自身も楽しむことができて息子や一緒に回った国友さんにも楽しんで頂くことができたが、そのポイントがいくつかあったような気がする。

◆後ろの組:上述したように3ホール目以降は後続に追いつかれることはなかった。がこれは後ろの組が4人であったことが大きく関係しているのでは?と思う。これが例えば2サムだったりしたらそうはならなかったかもしれない。2人も追い立てられたような気持ちになって楽しめなかった可能性もある。この点は恐らくマツケンさんの配慮があったのではないか?と思うが

◆クラブ選択:今回息子が使うクラブは、ライなどを見て殆ど私が選択して渡した。「自己判断」がゴルフの基本ではあるけれど、番手別の飛距離すら把握できていない初心者にそれを求めるのは酷な面もあるだろう。後半は敢えて「何番で行く?」という質問を投げ掛けて自主的な判断を促してみた。スキルに応じて「補助するところ」と「自主判断を促すところ」をこちらが臨機応変に使い分けるのが重要というか。コース未経験者はラウンド中でも突然スキルが5段階くらい上がったりもするので、お世話役の臨機応変な判断変化が必要だと感じた次第

◆先ずはやって見せる:ラウンド前、マナーやエチケットに関する細かい話は一切しなかった。気をつけたのは「先ず自分がやって見せる」こと。グリーンの前までは走っていたけれど、グリーン上では大袈裟に止まってそーっと歩いてみたり、カート移動時はクラブをバッグに入れずまずは手元に持ってカートに乗り込んでみたり。「プレーファースト」に繋げるためのちょっとした身のこなし方を実践したところ、最初は打つ度にクラブをバッグに入れてからカカートに乗っていた息子も、気づいたらクラブを持ったまままずはカートに乗るようになっていた。途中何度か「後ろが来ているので、ここは軽く走りましょうかー」と声かけすることがあったけど、先ずは自らやってみせること、言葉での声かけはそれだけでは伝わらなかった時に適切なタイミングで行ったほうが、その人にとっての「実」になると感じた次第

 要するに、今回であれば私のような立場の人間が「お世話役」に「彼等目線で」徹することが必要ということ。それを再認識できたのは自分にとっても大きな収穫だった。

 ラウンド後は、当日開催されていたチャリティープロアマのお手伝いをちょびっとだけさせて頂いたのだけど、その間息子はずーっとパターとアプローチ練習に没頭していた。特にパターが楽しかったみたい。


親のお財布負担軽減

 天候の良さもあり、上手くいった部類に入った息子のゴルフ場デビューだが、ラウンド後に「仮に今回のラウンドを自腹切るとしたら、いくら出す?」という質問を投げてみた。曰く「3,000円から4,000円」との回答。実際今回のハーフラウンドは税込7,700円(利用税免除)だったのだけれど、その金額を告げると「楽しかったけど、その金額はキツい」とのことだった。友達を気軽に誘える額ではない、とも。

 仮に親御さんが子供を連れてゴルフ場に行ったとする場合、殆どはお子さんのプレーフィーも支払うことになるだろうから、親御さんからしてみれば「自分はお世話役なのに自分のプレー代払って、子供の分も払わないといけないのか」という気持ちになるのも無理からぬところかもしれない。将来的なゴルフ人口創出といった産業側の理屈なんて知ったこっちゃない一般ゴルファーであれば尚更で、「だったら自分1人でプレーするわ」となってしまうのが自然かもしれない。

 ゴルフ場の厳しい経営環境を知る身としてはなかなか言いづらい面があるのだけれど、投資的な観点から言えば未成年のゴルフ場プレーに関しては、例えば「親子割引」のような制度があれば、「コロナ禍の新たなファミリーレジャー」としてのゴルフも成立するのでは?と思った次第。

 私が調査を担当している釣り産業では、遊漁船(乗合船)の乗船代に関して様々なファミリー向けの割引サービスを展開している。かなり端折った表現にはなるけれど、釣り産業はゴルフ産業に先んじて「ファミリーレジャーとしての釣り」「将来の釣り人創出に向けた先行投資」を行っている、ということが言える。

釣り雑誌には様々なファミリー向け企画が

  ゴルフの場合、「競技に出ているようなジュニアゴルファーとの線引きはどうするんだ!」的な話になるのは想定できるんだけれど、自分の子供が楽しそうに、また上手く球が当たらない時に感情をあらわにしている姿を見て、学生向けのゴルフ場体験機会創出の産業としての投資価値は充分にある、と感じた。できない理由を探すよりも、出来る可能性の方を模索してみたい。


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