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チェルノブイリツアー DAY3

【チェルノブイリ・ダークツーリズム】
DAY 3 ゾーン
0.3〜1.5μSv/h 局所的に20μSv/h
■原発内部
■チェルノブイリ2
(ソ連が建設した巨大なミサイル探知システム、ソ連の秘密基地など)
■ニガヨモギの星公園
(聖書 ヨハネの黙示録が事故を予言していた?)
■シロタさんのお宅

原発内部へ入るときがやってきた。

事前に防護服のサイズを申請していたので、ガスマスク付きのがっちりしたものを着るのかと思いきや、、、
白衣に帽子にマスク、アヒルのような黄色いふにゃふにゃの靴袋。給食当番コーデ。
しかしこの衣装もどことなくソ連の秘密研究員っぽい。

金色一式の壁に挟まれながら廊下を進み、
放射線量や地震を検知するコントロール室、
原発のオペレーションを行うブロック制御室を見学。
本物だとわかっていても、赤・黄・青のスイッチボタンやメーターのデザインがSF的でどうしても映画のセットの中にいるようで、これが現実の現場なのだという事実に大興奮だった。

小さい頃見たサンダーバード(60年代制作。21世紀が舞台の、科学の力を駆使した国際レスキュー隊の話)、
あるいは先日見たシェイプ・オブ・ウォーター(冷戦下のアメリカの秘密研究所が舞台)を思い出すような世界観。
フィクションで焼き直された現実の方が私にとってはリアルになってしまっていることに気付く。
目の前の本物をリアルとして受け取るのにラグがかかる感じが新鮮だった。 4号炉と壁一枚隔てた廊下を通って入ったポンプ室(冷却水を原子炉に送る場所、本旅行中で恐らく最大の線量)がクライマックスで原発内部の見学は終了。

廊下の壁が金色なのはソ連の単なる見栄だけかと思っていたのだが、違った。
放射線は密度が高ければ高いほど遮断できるそうで、金は金属の中でも密度がかなり高い。
新石棺はステンレスで出来ているのだそう。
鉛が一番シャットアウトできるのだが重過ぎて活用できない。

チェルノブイリ原発は発電こそしていないものの今もベラルーシとロシアとウクライナの配電のハブとして機能していたり、廃炉作業をしていたり、現役で働いてる人が2400人もいるのだそう。

事故機4号機は2000年に廃炉作業が始まり、新石棺で覆うところまではいったもののいつ終わるのかは決まっていない。
終わったとしても汚染物質の保管場所が決まってないし引き受ける責任者も決まっていない。
その他の1〜3号機は解体作業が2065年にようやく終わるのだそう。
気の遠くなる道のりだ。

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再び原発社食を食べたあと、
向かったのはチェルノブイリ2と呼ばれる原発からバスで10分くらいの森の中にあるソ連の秘密軍事基地。

ここにはOTHレーダーと呼ばれる超超超巨大なミサイル探知アンテナがある。

鉄筋で組まれた面状のアンテナで、
高さ150メートル、横幅は…90メートル✖️2機、とにかく果てしなく遠くまで続いていた!
原発の2倍もの費用がかけられたという。
秘密のアンテナだったため、ジャーナリストに気がつかれて質問された時は「森の中にホテルを建てている」とごまかしていた。
それなのにシステムが稼働する前に原発事故で未使用のまま終わってしまった。
ソ連の執念と無念を痛感した。

チェルノブイリ2には他にも若手のトレーニングセンター(教育施設)なる場所や、システムのコントロール室など、人の気配がまだ生々しく残るような場所も探検でき、とても面白かった。

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ゾーンのホテル近くにある『ニガヨモギの星公園』は、1日目キエフで行ったチェルノブイリ博物館と同じハイダマカさんというデザイナーが設計した場所。

ここにも原発事故で失われた村の標識、
そして広島、福島、折鶴のモニュメントもあった。
印象的だったのは公園の中央にあったソ連時代の青い郵便ポスト。
失われた村への手紙をポストに投函すると、その両隣にある村ごとの郵便受けに仕分けされる仕組みだという。

『ニガヨモギの星公園』の由来が興味深かった。

聖書のヨハネの黙示録の第八章に、第三の天使がラッパを吹くとニガヨモギという名の星が天から落ち、水の三分の一が汚染されるという文章がある。
チェルノブイリの地名がニガヨモギのウクライナ名に由来することから、この記述は原発事故を予見したものとされた。
(参照:チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド)

事故後あらゆる食べ物は被爆したが、
唯一チェルノブイリで食べられるものはリンゴだったという。

「リンゴを食べる」
といえば、創世記のアダムとイブの神話を思い出す、とツアー仲間のどなたかが言っていた。

20世紀のこのタイミングで改めてリンゴを食べ、人類の原罪を思い出しなさいという神からのメッセージだったのか…?
なんてまた不謹慎なことを考えてしまった。

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この日最後はシロタさんという方の家に行ってお話を聞いた。
プリピャチに住んでいた9歳の時に事故が発生し、避難。
現在はプリピャチドットコムの代表を務め、過去と現在のプリピャチを世界に配信する活動を行なっている。
シロタさんはマッチョで強そうな見た目なのだが、とても優しくてピュアな目をしているのが印象的だった。
文化宮殿での思い出などを話してくれて、シロタさんを通じて、事故前のプリピャチの町の輝きを感じることができた。
どんな動機でプリピャチを訪れてくれたとしても、何をそこで体験して感じて持ち帰ってくれれるかが大事、と思いを語ってくれた。

シロタさんのインタビュー詳細は最新のゲンロンβに掲載してます!
https://genron.co.jp/shop/products/detail/174

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