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感情表現は仕草に現れる #20

【目の前に素敵な女性が現れて、どのように言葉をかけてよいか分からず照れている男性】

上記のようなシチュエーションをパントマイムで演じるならばどのように動きをつけるだろうか。少し考えてみて欲しい

両手をお腹の前でモジモジさせたり、体をくねくねさせたり
両手でドキドキする胸を抑えたり、やたらと髪型を整えたりと

多様に表現の仕方はあるだろうが
誰でも理解の出来る普遍的な表現というものは存在している

感情は仕草に現れる

パントマイムで物語を紡ぐ中で、絶対に外せないのが感情を帯びた動きだろう。ダンス的な振り付けのみの動きではなく、感情からくる体の動作だ

心があって動きがある。
順序として感情の流れがあるから身体の動きにつながる、その感情の流れというのが様々な仕草に現れるのだ

どのような仕草がどんな感情を帯びているのかがわかると、場面創作の助けとなる。パントマイム的な目線から、仕草で表される感情表現について語ってみよう

日常で無意識にしている仕草

例えば、以下のようなちょっとした動作でも、それぞれが感情を帯びたアクションとして受け取ることが出来る。

・鼻の下を人差し指でこする→照れ隠し
・頭をかく→困っている、照れている
・体の前で両手を組みモジモジする→照れている、恥ずかしい
・爪を噛む→イライラしている、嫉妬
・目線が右上を向く→どうしようか考えている
・目線が左上を向く→過去のことを思い出そうとしている
・こぶしを握り、肘を曲げる→喜び、興奮
・こぶしを握り、震える→強い怒り
・スキップ→喜び、ウキウキした気持ち
・口が空く→驚き、絶句、恐怖

ごくごく一部ではあるが、その動作を見ると感じられる感情ではないだろうか

パントマイムをしているつもりはないだろうが、これらの仕草は言葉を用いずに自身の内面を語っているものだ。

なんなら、伝えたくない気持ちでも仕草や動作一つで感情は伝わってしまうものである。

いつもより歩みのスピードを早くするだけでも、焦っているのか、イライラしているのか、待ち遠しいのかなど、いくつかの方向性に絞り込まれるもので、そこからさらに、拳を握りしめているとか、下唇を噛んでいるなどの、複合的に別の仕草も組み合わされれば、現在どういう気持なのかが伝わってきてしまう。

意図的ではなくても、人の感情から生み出される仕草というものは、このように言葉を用いずとも自身の内面を映し出すものなのだ。

記号的になっている仕草

上記に紹介したいくつかの仕草だが、一部は形骸化され、ある意味記号となってしまっているものも多くある。

例えば、《鼻の下を人差し指でこする》という仕草はイメージとしてはあるだろうし、見たこともあると思うのだが、これを現実でやっている人は殆どいない。

ならばどこで見た記憶があるのかと言えば、アニメや漫画の中である。

実際に一つの感情を表す仕草として存在しているのは間違いないのだが、実際は虚構の世界でしか用いられていないのだ。

その理由としては、やはりこれらの仕草は極端に感情を表に出す動作だからだろう。今自分は照れていますよと相手に伝わってしまう仕草なのだとしたら、現実で使うことはない。
だが、アニメや漫画などの虚構の世界では、基本的に動作はデフォルメされ大げさに演じられることが多い。なのでこのような外へと完全に感情が伝わってしまう仕草や動作というものが積極的に用いられる。

伝える目的のためにその仕草が残っている
パントマイム作品においてもデフォルメされた物語の中では、このようなアニメ的なオーバーな表現を用いている。アニメや漫画と同様に、その人物の感情を伝えること、そして観ている方へ伝わることが目的だからだ。

誰もがパントマイム的表現を行っている

このような日常の仕草を活用しながら、今の場面や感情を表に提示することは、パントマイム表現を行う際には有効なアプローチである。

デフォルメすることもあるが、これらの仕草というのは普遍的に感情が動いたときに表に出てくる表現だからだ。

誰もが理解出来る感情描写を仕草を用いて表現しながら
その先にある物語の面白さ、感情と場面の変化を楽しで頂きたい。

御礼申し上げます

お陰様で、今回の記事で#20となりました。
自分の中にあるパントマイムに関する認識やルールを整理する目的から書き始めたこちらの投稿ですが、こうして目にしてくださる方がいるというのは、やはり書くモチベーションに繋がっております。

どこかでパントマイム演目を目にする機会がありましたら、ふとこの記事の内容を思い出して頂けると嬉しく思います。

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