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今日も生きていく

泥水の上澄みだけを掬って小瓶に詰めるように、どんなに苦しくても美しいものだけはにぎっておきたかった。美しいものには美しいものが出来上がるまでの土台があるから、美しいものを見たらその土台に思いを馳せて、そうして泥水で満たされた体の、その上澄みで涙を流す。そんな悲しさこそが美しい。そんな人に私はなりたい。

大切な人に教えてもらって、初めて聞いた曲、何の楽器かはわからないけど、細やかな音色が、光の粒のように私の耳を鮮やかに彩る。今日も生きていくのだ。私は、真っ直ぐ、歩みを止めないで、生きていく。

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