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入院中の独り言

今日は1日雨だった

朝、看護師さんに今日は朝一で
シャワーですよと言われ
着替えを持ってシャワー室へ

私は未だ片足しか足をつけないので
当然シャワーでも介助が必要だ

服を脱いでいるとき、看護師さんが
言いにくそうに
今日は看護研修生が来ていて
一緒に介助しますが良いですか?
若い男の子なんですが‥
と言ってきた

前に他の患者さんに聞いていたので
とうとう来たか と言う思いだった
はい、良いですよ!
と言うしかない
こんな年寄りの裸かなんて
見たくもないだろうし
勉強なんだから協力しよう!

イメージです

看護助手の男の子が入ってきた
シャワーを流し始めると
看護師さんが彼に何かを告げ
出て行ってしまった
シャワー室に孫のような
看護助手の男の子と2人きり

介護用イスに座りシャワーを浴びる
手は不自由ではないので
身体や髪も自分で洗い
自分で流せるわけで
特別、洗っている最中は
側にいてくれる必要ないのに
彼はしっかり私の前に立って
見ている

仕方ないので、私は黙々と洗った
しかし、大事な所を洗う姿を
見せなければいけない
いや、今日は洗わずにスルーするか
いや、やはり洗わずにはいられない
背中を洗っている間
自問自答した

大事なとこを洗うには
片足で少し立ち股を開く必要がある
その格好も恥ずかしいので
私はチャラけて
大事な所も洗わなきゃー
と言うと、彼は「はい」と言った
はい?って何?
って思ったけど、その勢いで
スクっと片足で立ち
前から後からゴシゴシ洗った

その時には、既に恥ずかしさは消え
自分のお腹の傷を指差し
これね、6年前に癌で手術した後
などと教えていた

もう何十年も
異性に裸を見られたことはない
この老女が
若い男の子に見守られながら
なんと不思議な
シャワー体験をしたのは
冥土の土産になるだろう


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