笑福亭鶴瓶さんと夏目雅子さん


ホテルプラザ


ホテルプラザの喫茶店

ABC朝日放送の隣、ホテルプラザの喫茶店で、緊張しながらコーヒーを飲んでいると、僕の脇腹をつかむ人がいる。横を向いたら、待ち人・笑福亭鶴瓶さんの笑顔がそこにあった。1本だけ御一緒したバラエティー番組の打ち合わせだった。

笑福亭鶴瓶さん



さかのぼる事、1ヶ月前、僕はプロデューサーから鶴瓶さんの番組をやらないかと言われていた。レギュラーでディレクターをやっている「11PM」以外では初めての単発番組のディレクター。しかし、なかなか番組の良いアイデアが浮かばない。僕はかなり焦っていた。

鶴瓶さんの個人事務所のスタッフと話をしていたら、「街中の頑張る女性のところを鶴瓶さんが訪れ、スタジオに知り合いを連れて来て欲しいとオーダーする企画」が出てきた。

ラジオ大阪



鶴瓶さんのロケ日は1日。ラジオ大阪「ぬかるみの世界」終わり、ホテル前で2時間しか寝ていない鶴瓶さんのオープニングトーク。まだ目が覚めていないのか、かみ倒す鶴瓶さん。

移動して、1人目。「ガス検針員の女性」。彼女の不器用だが温かい人柄を会話の中で鶴瓶さんは丁寧に引き出していく。

2人目。「魚河岸で働く男勝りな10代のお姉さん」。荒くれた仲買い人たちに鶴瓶さんが彼女の評判を訊いて廻る。

3人目。「エビス焼き(今川焼き)を焼く笑顔が優しい、地元でも人気のおばあちゃん」。鶴瓶さんが、集まった人から、若い頃のおばあちゃんがとても厳しかったという証言を引き出す。

本番当日、大型バスでそれぞれの「知り合い」が連れて来られる。事前にスタジオ入りしている3人は何人来るかは知らない。

スタジオでの収録が始まった。取材した女性は1人ずつ登場。それぞれの「知り合い」も本人の後に登場する。

スタジオでアシスタントを務めた
清水由貴子さん



エビス焼きのおばあちゃんの「知り合い」が50人を超え、いちばん多かった。

鶴瓶さんのトークで、「知り合いの知り合いで、本人の事を全く知らない人」が来たり、本番は予想以上に盛り上がった。鶴瓶さんの「おばちゃんトーク」が炸裂した。

急逝された夏目雅子さん



この番組の下見で東大阪へ行った帰り、近鉄鶴橋駅売店の貼り紙で、女優・夏目雅子さんの死去のニュースを知った。1985年9月11日のことだった。季節は秋に入っていた。

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