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しゅーくりーむ短編小説集

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中学生の僕、しゅーくりーむが書きました短編小説のマガジンです✍️ まだまだのところもありますが、暖かい目で見てくださると嬉しいです。 コメントなどで感想もぜひ教えてくれると助かりま…
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素敵なドラマ。

私は昔から映画が好きだ。 音楽や映像など、様々なワクワクさせられるものが詰め込まれている。 ときにはスクリーンに吸い込まれてしまうほどに。 中学生の時に、ああ、こういう映画関係の仕事につければいいなと思った。チケット販売、美術作画、音楽制作、スクリーンの掃除。 しかし同時に、様々な仕事があったけれど、生憎絵を描くのも音楽を聴く能力もなく、私にできるのはせいぜいチケット販売か掃除だと知った。 それでも私は映画に携われると思うと、そんなことは気にしなかった。 高校、大

導く者。受け継がれていく物。

「カツカツ」と、黒板にチョークで板書を書いていく。 現在35歳、私、成川奏は教師として中学校で勤務し、日々国語を生徒たちに教えている。 国語なんてものは自分が中学校のときは大嫌いもいいとこだったが、ある先生の言葉で日本語、いや、言葉の面白さに気づかされたというか、興味を持ち始めたのだ。 その先生は授業もいい加減で、下ネタばかりを連発し女子からはあまり人気ではなかったが、やるときはやる先生だった。 先生が高校の時は学年一二を争うほどの成績だったらしく、案外、普段しゃんと

時間の使者はBARにいる。

「いらっしゃいませ」 20XX年 4月9日 午後9時 「ウォッカを一つ。」 表商店街の地下にあるこの店は、私の愛用しているBARだ。きつく胸の焼けるあの感覚の虜になり、週一回は来ている。 しかしもうこの店に来ることも、ウォッカを飲むこともなくなるだろう。 20XX年 4月9日 午後4時頃 「速報です。巨大隕石が地球に接近しています。専門家の調べによりますと後5時間ほどで地球に衝突し、地球の4分の3は破壊されるとのことです。」 無茶苦茶だ。 そう、まるで映画のよ

僕は今日も、君に花を添える。

秋。 秋風。 紅葉。 「お待たせ。お盆はごめん、仕事が忙しくて来れなかった。調子はどう?元気にやってる?」 僕は今日も、君に花を添える。 * * * 2050年9月9日。 柔らかな手。 白い肌。 閉じた瞳。 君は交通事故で寝たきりになった。 原因は車の運転手の飲酒運転。 今となっても運転手が憎い。 運転手が生きている今日も、話している今日も、寝ている今日も、 君はピタリとも動かず、目を覚まさないというのに。 見舞いに来始めてから、いったい何日が経

割れた花瓶は戻らない。

カタカタ。 カタカタカタ。 パチ。 社内フロアに響くキーボード音。 パラパラ。 書類の擦れる音。 社長椅子に座る私。 いつだろうか、私もあのようにバリバリと働いていた時があった。 新人の私に厳しく指導してくれ、社会人としての基本を教えてくれた部長はもういない。 今となっては私が指示をする側だ。 「山内社長、新提案のプレゼンが終了しました。次に始まる内容を送っておきますね。」 「そうか、ありがとう。」 そうだ、あれは確か入社して3ヶ月ほど経った頃ーー