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【ここにきてコインランドリー機器メーカーのやっと差別化が始まった】

メーカーとコインランドリーをご利用のお客様との距離感が遠いのがコインランドリー業界の特徴です。メーカーにとっても販売店にとってもお客様はコインランドリーをやりたいという事業者であり店舗オーナーです。フランチャイズ本部にとっては加盟店オーナーになります。このスキームは決してコインランドリー業界に限らずコンビニであろうと飲食店であろうとチェーン本部や機器メーカーにとっては一緒です。自動車でもメーカーにとってのお客様は販売店ですが販売店に買ってもらう為にそしてそれは消費者が乗ってみたい欲しいと思うクルマを作り続けなければなりません。コンビニ・飲食店も同じです。当たり前のように消費者目線で商品を開発する事がオーナーの利益に繋がり自分の利益に繋がると良くわかっています。どの業界もオーナーがしっかり商売としてのリテラシーを日々磨いています。ではコインランドリー業界はどうでしょうか?「基本的に売ったら終わり」なのがこの業界の特徴であり今ではそんな販売店が業界の商売リテラシー向上の足を引っ張っています。これはオーナー側にも問題があります。投資目線が強すぎるからです。したがって販売店にとって追加で機器を買ってくれそうなオーナー以外で開店後に店舗運営の相談やあれやこれやと言ってくるオーナーは手離れの悪い客になります。販売店にとってはそのオーナーが儲かっていようがいまいが直接の問題にはなりえないのです。2店舗目・3店舗目と拡大出来そうなオーナーでない限り手厚いサービスというものは皆無に等しいです。一緒になって親身に売上向上の為にお店に立ったり新しい仕掛けを提案する事はそこに料金が発生しない限り共に本気で取り組んでくれる販売店はほとんどありません。「売った機器に責任はあってもそのお店の売上に対しては責任はありませんよ」というスタンスです。コインランドリー業界というのはそもそもそういう世界です。コレはお店をそこに開けばちょっとづつでも売上が上がって行く時代なら問題ありませんでしたが今は状況がそれを許しません。売上が良ければ競合が出やすい環境にもなります。そしてメーカーとしても過剰出店となりコインランドリー出店の勢いは落ちて来ています。そうなるとメーカーとしては販売される機器の絶対数が減ってきます。そんな状況がいよいよメーカーの危機感として機器のデザインや商品サービスの開発に出てきたなと感じます。お客様の使い方という所ではTOSEIさんが一歩抜きん出ました。コレには理由があってデザインリニューアル前のTOSEIの機器はヘアライン仕様のステンレスデザインでおしゃれなのは良かったのですがほとんど日本語表記が無くあっても文字も小さく解りづらいものでした。わかりやすいのはクリーム色の昔ながらのデザインを選択するしかありませんでした。いかにもデザイナー寄りのユーザーインターフェイス(UI)の観点が弱い商品でした。ココに商売リテラシーが低い業界の弱点があります。そもそも顧客としてランドリーを使わない人々が投資や節税商品としてコインランドリーオーナーになる事が多いので商売目線よりも投資家などのオーナー目線で聞こえの良いキャッチーなモノづくりになってしまいました。それでもバンバン機器が売れた時代は問題なかったのですが市場(ここで言う市場は消費者がコインランドリーを使う市場ではなく機器を販売するマーケットの意味)が縮小すれば必然的にメーカー間の競争が激しくなります。消費者目線で機器を開発する事が機器の販売台数に繋がるの事にやっと気がついたのです。正直なところまだまだの感は否めませんがやっとそこに対して積極的に動いたのがTOSEIです。光と大きな日本語表記で非常わかりやすいUIになっています。ただ惜しいのが作っている人にまだまだ維持管理の目線が足りずステンレス剥き出しがいかに維持管理の生産性が低いかという事に気付いてないと言う事です。私たちはありとあらゆる店舗運営をお預かりしている中でTOSEI機器は手垢や汚れが落ちづらく水拭きすれば拭き後が残るので清潔感を保つ生産性が非常に低い機器になっています。さらには傷もとても目立ちやすいのが難点です。本当はTOSEIのステンレス機器店舗は別料金を頂きたいと思う程です。実際に店舗清掃を自身で行うオーナーが少ないのでココに注目されることは少ないです。AQUAに関しては水面下ではわからないですが今とりわけ先進的な取り組みは見られません。あくまでも個人的な見解ですが元々SANYOという日本メーカーから中華系企業に身売りされた結果根本的な商品開発の予算が取れてないのかもしれません。技術は買ってくるもので開発するものではないというビジネス文化の国なので儲かるステージから開発が必要なステージになるなら売ってしまうかもしれません。その時に日本の企業に戻る可能性もあります。もちろん基本的なブラッシュアップは続けてもいます。プログラムの構築で「掛布団専用コース」や「敷布団専用コース」等です。これはこういうコースを導入する事でサービスの単価を上げられますよという事に繋げていますが消費者が求めているのはそこではないので中々普及には至っていません。そしてこの2つのメーカーの特徴として洗濯機(業界的に言うところの水洗機)には積極的ではないという所があります。正直な所洗濯乾燥機を売る方が圧倒的に利益率が高いという内情があります。コレは店舗側に関しては売上の損益分岐点が高くなってしまうというリスクにつながってしまいます。逆にエレクトロラックスを筆頭とした海外メーカーは世界的な標準である洗濯機と乾燥機をそれぞれをメインで販売しています。エレクトロラックスが筆頭というのはしっかりと資本を注入して日本法人を作っているからです。なので海外メーカーとして洗濯乾燥機を開発して販売しているのはエレクトラックスだけでした。そしてなぜ過去形かと言うと今ではエレクトロラックスの洗濯乾燥機は日本製になっています。外から見た日本市場は既に魅力的な市場では無くなってきたと言う事なのかもしれません。日本というガラパゴスな市場で日本でしか売れないものに巨額の開発費を出すのは効率的ではないからです。これは日本の自動車メーカーにも同じ状況が見て取れます。日本人向けに商品を作っても採算を取るのが難しいので世界で売るものを開発してそれを日本に導入する事が多なっています。日本専売は売れる軽自動車のみで他の車種は世界標準になるか逆に日本のメーカーにも関わらず海外専売の車種も多くあります。更にこの円安で日本市場の魅力は著しく低下しています。しかしエレクトロラックスは世界標準で機器の開発が進められている為TOSEIやAQUAとはベクトルの違った商品が開発されリリースされています。ニットが洗えるlagoonシステムなどがそうです。逆にTOSEIやAQUAは敷布団乾燥機などをリリースしています。どれも消費者に受け入れてもらうにはまだまだ非常に時間がかかると思います。メーカーとしては全体的に「高単価」な商品開発をして店舗の売上を上げようという流れです。どちらにせよお客様に決定的な利便性やお得感を提供する事にはベクトルが向いていないのが実態です。以前お話ししたプロダクトアウト寄りの商品です。いかにお客さまにお安く良質なサービスを提供できる機器を開発できるか?次のステージをリードするのはどのメーカーになるのか?そこにコインランドリー業界全体の未来がかかっていると思います。例えば「使用する水電気ガスが半分になります。その分をお客様に還元して利用料金を下げましょう」というベクトルが産まれればコインランドリー業界の未来は明るいかもしれませんがそこに着手しているメーカーはありません。エレクトロラックスが「脱炭素ヒートポンプ乾燥機」が間もなく日本に上陸します。欧州では10年程前からガスを使わないコインランドリーは普及しているとの事です。個人的にはかなり注目しています。しかし良いものが売れるとは限りません。現場でその道具をお客様に訴求するのは各店舗の努力になります。何もしなければ猫に小判・豚に真珠状態になってしまうのです。機器のUIやシステムの向上はメーカーが担いそれを使って店内のUI・導線コントロール・演出・販促活動を行ってポテンシャルを最大に引き出し商売を行うのは各店舗オーナーになります。そしてその機器をどこの誰から買うのか?ただ売るだけの販売店なのか?コインランドリーを一つの商売としてとらえ商経験豊かで共に販促や店舗を自分のお店として一緒に育てて行ける販売店なのか?機器選びと販売店選びこの2つで未来が大きく変わってきます。もちろんそのエリアエリアで特性もあるので私もそんな一緒に開拓できる仲間になりたいといつも思っています♪

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