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【脱炭素経営の前線から 10】 「攻める脱炭素経営を提案」 (株)アイ・グリッド・ソリューションズ 代表取締役社長  秋田 智一氏

脱炭素ソリューションカンパニーとして、総合的に事業を展開している、(株)アイ・グリッド・ソリューションズ。自然を傷つけない屋根上太陽光発電によるオンサイトPPA事業やスーパーマーケットをはじめとする全国の大型店舗へのエネルギーマネジメント事業、「スマ電CO2ゼロ」といったCO2ゼロの電気販売などの電力供給事業で知られる同社の、最新の動きについて代表取締役社長の秋田智一氏にお聞きしました。

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・プロフィール  広告会社勤務を経て、2009年環境経営戦略総研(現㈱アイ・グリッド・ソリューションズ)に入社。主に新規事業開発責任者として太陽光発電事業、電力供給事業を推進。2016年当社取締役エネルギープラットフォーム事業本部長。2017年VPP事業の推進を目的とした㈱VPP Japanを設立。2020年7月には、日本初の電力余剰電力循環プラットフォーム構築のため、㈱アイ・グリッド・ラボを設立し、VPP Japanおよびアイ・グリッド・ラボの代表取締役を兼任。2021年㈱アイ・グリッド・ソリューションズ代表取締役社長に就任。

■グループ企業が連携してソリューションを提案


―アイ・グリッド・ソリューションズはグループ企業とともに、エネルギーに関する事業を幅広く展開されていますね。

秋田:はい、当社はアイ・グリッド・ソリューションズをグループの中心として、VPP JAPANとアイ・グリット・ラボという2つの子会社があります。伊藤忠商事を筆頭に関西電力やベンチャーキャピタルからの出資を受け、持続可能なエネルギー社会の実現を目指した活動を行っています。分散型の太陽光の電源、いわゆるPPAといわれる事業を行うVPP JAPANや、再生可能エネルギーを安定的に有効活用するためのAI解析や、蓄電池・EVチャージャー等の連携制御の開発を担当するアイ・グリッド・ラボが協力、連携しながら、我々アイ・グリッド・ソリューションズがパッケージ化して、企業や自治体、工場等に向けたソリューションとして提供しています。

―秋田社長は、アイ・グリッド・ソリューションズの前身となる環境経営戦略総研時代に入社されたのですね。

秋田:はい、私は広告会社の出身ですが、2009年に当時は省エネを推進する会社であった環境経営戦略総研に入社しました。その後、同社は東日本大震災以降のエネルギーシステム改革が進む中で事業機会をとらえてアイ・グリッド・ソリューションズへと社名を変えて発展してきました。そのなかで私はマーケティング、事業開発といった部門の責任者を務めたのち、2021年5月に創業者である現会長の本多聰介より引継いで社長に就任しました。

―アイ・グリッド・ソリューションズは、脱炭素を目指す企業にさまざまなソリューションを提供する企業として知られています。

秋田:当社は事業ビジョンとして「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」をかかげています。分散化やデジタル化に伴う電力システムの大きな変化の中で、新しい技術的要素を取り込んだグリーンエネルギーのありかたを模索しながら、脱炭素エネルギーソリューションを次々と社会に届けています。

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■「脱炭素」への感度が上がってきたことを実感


―2004年に省エネに関するビジネスをスタートされてから今日まで、御社のビジネスは急速に成長されていっています。

秋田:そうですね。我々は創業当時から省エネ関連のエネルギー分野、とりわけ電気に関するジャンルに関わってきました。「エネルギー使用量を減らす」=「CO2排出量を減らす」ことですから、エネルギーマネジメントを通じて脱炭素へのソリューションは早い段階から提供してきました。それがさらにグリーンエネルギーや太陽光発電事業などにつながっていくわけですが、「脱炭素」というくくりで考えますとお客様の感度があがってきたのは、やはり一昨年の菅前総理のカーボンニュートラル宣言以降です。脱炭素社会へ向かうギアが一段二段上がってきているなと実感します。以前は経済的メリットがあることをベースに「環境によい」というものが選ばれていました。しかし最近では「電気代がいくらになるかよりも、脱炭素化したい」「脱炭素経営を通じて企業価値を向上させたい」というニーズが先にあって、そのうえで「PPAを検討したい」といった具体的な相談をされる流れに変わってきている印象があります。

―御社では1月に伊藤忠商事やヤオコーと共同で、太陽光発電と宅配用EV(電気自動車)のエネルギーマネジメントの実証実験を開始されました。EV事業へはソニーやアップルなど多くの企業が参入を発表し、今後はさらに普及が推進されそうです。

秋田:やはりEVは世の中が脱炭素に転換されていくなかにあたって、一般市民からしても一番分かりやすい部分だと思います。太陽光であれば屋根に上らないと見えなかったりしますけれど、自動車をEVに変えることは見た目にも分かりやすい脱炭素への転換メッセージになります。しかしながら、EV導入を果たしてもEVが使う電気が化石燃料で作られたものであっては、結局のところゼロカーボンにはつながりません。今後はEVが広まっていく流れとともに、そこで使われるエネルギーの質を皆さんが意識するようになるでしょう。我々はEVのチャージャーを通して、再生可能エネルギーをいかに地域内で循環させていくのかを考えています。EVが走る地域のすぐ近くの店舗の屋根上で発電した電気を店舗で自家消費するだけでなく、EVチャージャーや、BCP対策にもなる蓄電池に充電しつつ、さらには使いきらなかった電気を地域とシェアしていく脱炭素ソリューションこそ、我々が今、取り組んでいるものです。

―再エネを地域で循環させていく仕組みづくりには、自治体のコミットメントも重要になってきますね。

秋田:おっしゃる通りです。環境省も「地域脱炭素化推進事業体設置モデル事業」などの公募を行っています。自治体でゼロカーボンを宣言されているところは多いのですが、なかなか行政だけで進む話ではなく、やはり地域の企業の協力を得ながら、さらには市民の行動変容をおこしていくことが大切ですね。我々はこの分野でも、地域のスーパーマーケットなど流通小売業の企業様を中心とした顧客基盤を持っておりますので、そのような地域に根差した企業様と協働しながら自治体連携の地域ぐるみの脱炭素化にも力をいれていきます。


■脱炭素経営EXPO出展への思いとは


―3月に東京ビッグサイトで開催される脱炭素経営EXPOへのご出展を決められた経緯と、どのようなソリューションを展示予定かをお聞かせください。

秋田:我々は脱炭素経営を考える企業様に、エネルギーを「創る・繋ぐ・減らす・活かす」脱炭素ソリューションとして統合的に提供できることが強みです。これら4つのテーマに沿った脱炭素ソリューションをしっかりと打ち出しつつ、企業及び個人と地域社会をグリーンエネルギーで繋ぎ、地域脱炭素に貢献していきます。脱炭素化は世界的な潮流であるなかで脱炭素経営は後手の対応の中でやるものではないのです。攻め手として先手に取り組むことによって、差別化が図られ、それに伴って企業価値は向上し、地域や住民から支持されることにつながってくる、というところを前面に発信していきたいと考えています。

我々が提供しているサービスは、お客様から見えにくい部分もあるのですが、展示会ではバッググラウンドの説明とあわせて、デバイス機器の実機やデモなどの用意をして、よりイメージしていただけやすい展示内容にしたいと計画しております。「脱炭素経営とは、具体的にどんなことをすればいいのか」ということが分かるようなもの、そして未来はこのような世界に変わっていくのだということを明示できるメッセージを発信して、皆様の期待に応えていきたいと思っています。未来のために、将来世代のために、気候危機の回避のために、具体的に変化を遂げなければならない時代に突入しました。今すぐにでも脱炭素経営にドラスティックに舵を切る必要があるタイミングですので、アイ・グリッド・ソリューションズの展示が企業の脱炭素への行動変容の場となればと願っております。

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■アイ・グリッド・ソリューションズ様、取材にご協力いただき、ありがとうございました。


<お知らせ>
脱炭素経営EXPO[春]
 2022年3月16日(水)~18日(金)
場所:東京ビッグサイト 2022年初の脱炭素経営EXPOとなります。ご注目を!

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