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少子化でも「拡大アピール」をやめられない塾の事情。

今回は塾業界の戦略について。

塾業界で働いていて、不思議に思うことがいくつかありますが、一番の大きな疑問は若い方が企業して塾業界に参入されることです。

「若い」をどのように定義するかは、難しいところがありますが、私は「体力的に無理が効く」ことだと思っています。

人間は歳を取ると無理が効かなくなります。「へ~、そうなんだ」と思う方は若く、「そうだよね~」と思う方は残念ながら若くないということだと思います。

塾業界は、きわめて将来が暗い業界の一つです。理由は、私がドヤ顔でここで書くまでもなく、お客さんが「確実に」減っていく業界であるからです。

教育業界全般的に言えますが、未来は明るくありません。それでも教育に魅力を感じて塾業界に参入されるのであれば、それは素晴らしいことだと思いますし、敬意を表したいと思っています。そこまで滅茶苦茶に儲かることはなくても、頑張ってみたいと思っての参入だろうと思うからです。

しかし、既存の大手塾の中にそのような発想がないところはチラホラみかけます。明るくない未来にも関わらず、拡大志向が止まらない塾は結構多いのです。

その象徴ともいえるのが、サムネイル画像にあるようなグラフをチラシに使っている塾です。

これは、拡大していくことでしか生き残れないビジネスモデルです。地域一番塾が主にやっている戦術ですが、某映像授業最大手もこのグラフを使っていますね。

このグラフに嘘がないという前提があっても、このような無茶なアピールは、いつかは破綻し、ねずみ講的な宿命を持ちます。どんなに頑張っても地域一番の高校や東京大学の占有率を100%にするのは不可能だからです。

このような塾は、伸びが止まったり、数字が下降すれば、このグラフをやめるのでしょうか?おそらく違うと思います。このグラフに当てはまる都合のいい指標を使ってでもこのグラフを使うでしょう。

例えば、九州大学合格者数UP!というグラフを使っていたとして、それが達成できない場合は、合格率が上がっていれば、九州大学合格「率」UP!として使うことでしょう。

それだけ、拡大していることをアピールするこはビジネスとして意味があるのです。勢いがあるところに人は惹きつけられるからでしょう。

一度このグラフの旨味を知ったら、やめられない。拡大路線に固執する塾を見ると、そんな事情が見えてくるのではと思います。




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