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変化する入試問題の象徴と感じる1題【整数問題:北海道大2019年】

今回は、北海道大2019年の数学の問題を取り上げます。
問題はこちら。

今回は、解説が長くなりすぎることと、別の視点で書きたいことがあることもあり、解説が気になる方は、↓のぶおとこばってんさんの動画をご覧ください。

丁寧な論考が素晴らしい解説だと思います。

この問題、これからの入試問題数学の一つの方向性を感じさせる問題ではとおもっています。

まず、しっかりと高校数学で学ぶ知識を問うている点がよいです。
(2)の証明は背理法になりますが、そこでanにもan+3にも8の倍数の因数が存在すれば、その差にも8の倍数の因数が入るという点は活用すると、論証の展開が楽になります。
これがつかめると(3)は同じような論理展開になります。

また地味ながらいいなと感じるのが(1)ですね。
(1)は案外詰まってしまう受験生がいるのかなと思います。なぜなら、このような証明は解法パターン的にあまり類例がないからです。
思考停止の類例パターン学習者はこのような問題が苦手であるのは、現場で実感するところでもありますね。

本問の先進性を感じるのは(4)で、(1)~(3)の議論によって、anとan+3の最大公約数dnを特定させていることでしょう。

(1)でdnが偶数で、さらに(2)でdnが2^3以降の数を否定している(それ以降は、因数として2^3を含むため)。その結果、dnの因数は2か2^2=4だけであることがわかる。

そして、(3)の論証とdn≦12から、dnに5以降の奇数(素数)に因数がないことから、dnに9、つまり3^2の因数を持たないことを示させる点ではと思います。

これを示さないといけないと導く点が高度で、課題の発見という視点からみても、今の時代の学力観とマッチしていると感じます。

それを経て、dnが可能性として2,4、6,12と特定させています。

このような問題へのアプローチは、実験的な要素もあり、新しい時代の思考力なのだろうと感じます。

すでに組みあがっている解法にアジャストするというのではなく、未知なもの対して、思考力という道具によって、謎を解いていくという点において、とてもいい問題なのではと思います。


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