ダウンサイジングしない、できない私立大学の未来は明るいか?【イメージで選ばれる宿命を持つ私大の生き残り戦略】
塾の現場に立つと、私立大学の「難易度」のイメージが 年々狂ってきているなと感じます。
福岡都市圏の大学受験生を定点観測してきて感じるのは、私立大学のネームバリューだけで一般入試を突破できる学力を判断することが非常に難しくなっていると思います。
土地柄、塾に来ている生徒さんたちが受験している私立大学は、地元の西南学院大、福岡大、関西圏の関関同立、首都圏の早慶、明治、立教、中央、青山学院、日大、法政などや、理系ではこれに加えて東京理科大、芝浦工大あたりがよく受験している印象があります。
私の場合、理系の受験生は、私立専願はほとんどおられないので、どうしても私立大学は、国公立大学の併願先ということになります。
なので、理系はそこまでのイメージの狂いはないのですが、文系の受験生の場合は、??となる例が割と見られます。
例えば、関関同立で言えば、同志社を除くと、
・キャンパスが本部ではない学部学科
・新設された学部学科
・社会のニーズが今一つピンとこない学部学科
については、「まさかの合格」が結構見られています。
首都圏では、中央大学などが都心回帰となっていますが、同じ大学内でもキャンパスの立地と合格のしやすさ、しにくさは相関があるというのが現場で感じる感覚です。
偏差値は、学力を判断する指標であるだけでなく、人気(または需要)を示す指標でもあるのかなと感じています。
そのため、不人気の学部は、その大学の他学部より入りやすくなるのでしょう。
その意味では、同志社大学文系学部の「完全今出川化」は先見の明があったと感じます。これが「同志社は別」となる理由の一つだと思うからです。
そのためか、今後私立大学は、都心にキャンパスがあるきらびやかなイメージを抜きに学生にアピールするのが徐々に難しくなっていくのかなと感じます。
個人的には、このままでは私立大学が少子化時代に定員の現状維持は難しいのではと思っています。上記の大学群が偏差値がつかない状態になることは考えにくいものの、入りやすい学部学科があるという印象が広まり、さらに総合型選抜入試に悪いイメージが定着した場合、大学のブランドイメージは大きく棄損することは十分にありそうなことではないかなと思います。
本来は早期にダウンサイジングするのがベターな選択なのでしょうが、それができないままズルズルと現状を維持してしまうとリスクは大きいのかなと感じます。
子どもの数は今後増えることはありませんので、期待できることは、大学進学率の上昇しかありませんが、それも限界があります。
今のうちに都心回帰するなり、郊外のキャンパスの魅力を高める方策を考えるなどの手を打たないと、ダメージは大きくなるのかなと感じています。
本来は、私立大学であっても、大学での学びそのものの魅力を打ち出すのが「筋」なのでしょうが、広告宣伝となると、「優秀な」広告代理店さんがうまいことパンフレットを作ってしまうので、「そんなもの」として惰性が生まれている側面もあるのかもしれません。
ただ、イメージ頼りでは、もう持たなくなっているのも現実なのかなと思っています。