網膜剥離になった話(1)

【1日目】
3月になったある日、右目の視界に糸くずのようなものが見えた。糸くずにしてははっきり見えるな、と思いつつ、シャワーで目を洗ってみた。しかしそれは洗っても取れず、相変わらず視界の中を漂っていた。そのうち取れるだろう、と放って置くことにした。

【3日目】
仕事中に気づくと、目に粉か何かを振りかけたようなポツポツ状のものが視界いっぱいに広がっていた。仕事柄、プラスチックの切削粉でもかかったかとお手洗いに行き目を洗った。しかしそれは洗っても取れず、視界いっぱいに広がったままだった。
─これはおかしい。
そう思い、終業後にも間に合いそうな眼科医を探して仕事終わりに寄った。詳しく診るには瞳孔を拡げないといけないし、またその検査をするには時間が足りないので、また明日来なさいと言われた。

【4日目】
翌朝、会社に休みの連絡を入れつつ眼科へ向かった。朝一番で検査してもらったところ、網膜剥離と診断された。中高年は進行が早く、即入院の緊急手術レベルで、この院では対応できず、すぐに紹介状を書くのでこの足で大学病院へ行きなさいと指示され3院ほど候補を挙げられた。そこからアクセスの良い大学病院を選び、翌日の診察予約まで取ってもらえた。Googleのクチコミはあまりよろしくない眼科医だったけど、院間の連携の速さ、段取りの良さでいえば☆5つレベルじゃないか、そう思い会計を待った。剥がれ始めた網膜は歩くだけでも剥がれていくので、今日はもうまっすぐ帰って、家でじっとしていなさいと指示されたが、急に入院だ手術だと言われ動揺してしまい、ユニクロで入院用の肌着を買い、会社に行ってしばらく休むと報告を済ませてから帰宅した。



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