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青森のあるローカル私鉄と温もりの客車

最近、急激に寒くなってきましたから温かそうな話でも。

青森県、五所川原駅。この駅を通るのがJR東日本と、津軽鉄道。青森市から西、林檎の街弘前市から北あたりに位置するこの私鉄は現在、純私鉄としては日本で最北端に位置する私鉄となりました。

JR五所川原駅に隣接して建つそこそこ年季のありそうな駅舎。自動改札機が無いのは地方では珍しくありませんが、なんとここは自動券売機もなくきっぷは手売り、有人窓口できっぷを買うとよくあるきっぷと同じ大きさの硬券が手渡されます。まるで時代に取り残されたかのような雰囲気です。

ホームは車両よりひと昔前の雰囲気ですが、車両は平成然としています。
有名文豪、太宰治氏がこの一帯の生まれらしく、彼の著書「走れメロス」にちなんだ車両が走っています。

道中省略

もう片方の終点、津軽中里駅。

(注:金木駅の様子)

この列車は2両編成。後ろにくっつけて走ってきた車両は客車といい、動力がありません。なので動力のある車両を移動させ、先ほどまで最後尾だった方に付け替えます。
3月、東京は初春ですが冬の長い東北はまだまだ冷え込んでおり、雪がちらほら。しかしこの年は小雪だったらしく、雪は積もってませんでした。
電子音でない、金属を叩くような音色の踏切音を聞きながら列車は機回し作業。車両が平成然としたものであってもやはり雰囲気は時代に取り残されています。

運賃だけで乗れる普通車の後ろにくっついている客車は「ストーブ列車」という別料金のイベント列車。毎日運転される定期列車の後ろに連結して走る列車で、冬場のみ運転です。

石炭を燃料とするダルマストーブが車内2箇所にあり、このダルマストーブが車内をポカポカと温めてくれます。石炭をくべる作業はアテンダントさんにおまかせ。ストーブ目の前や横の席ですと慣れた手つきで石炭を割りストーブに放り込む様子が見られます。

車両は旧型の客車ですが中はいい感じにリニューアルされていて清潔。後付けらしいテーブル付き、肘掛け付き座席のボックスシートで、シートピッチにはそれなりにゆとりがあったと思います。設備からして元急行型でしょうか?

そしてこの列車には車内販売がありまして。そこではスルメイカが売っており、買うとダルマストーブの上の金網で焼いてこんな感じに食べやすくちぎってくださいます。焼いてるときの雰囲気もいいですが、スルメイカを焼くとスルメイカの香ばしい香りがふゎ~んと車内に……。買う気がなかったのに、この香りにつられてついつい買ってしまう人が後を経たないんだとか。

ただでさえ乾燥しているスルメイカを焼いたものだから、それはもう噛み千切るのも大変なほど硬いです。しゃぶりながら噛み続けると、イカの旨みがじわじわと出てきます。一人ですと食べきれないですが、グループならちょうどいいかもしれません。

列車は40分程度で終点の五所川原駅へ。乗車時は1両でしたが、多客期はストーブ列車が2両になり牽引も一般車から専用のディーゼル機関車に変わるそうです。

冬場限定の津軽鉄道の「ストーブ列車」。もしも冬場に青森に訪れる機会があれば、是非いかがでしょうか。

五所川原から津軽中里まで片道870円、途中駅であり太宰治ゆかりの観光名所もある金木までなら片道560円。ここに、ストーブ列車料金一律500円を足すとストーブ列車に乗車出来ます。津軽フリーパスではストーブ列車はご乗車になれないそうなのでご注意くださいませ。





おまけ
秋田駅から五所川原までは五能線をぐるりと回る観光列車「リゾートしらかみ」に乗車。五能線前半は日本海の海が眺められ、海が見えなくなると地元の方による津軽三味線の弾き語り。地元企業と連携した車内でのふれあい販売もあったりと、運賃+指定席料金530円で乗れるにしては設備もサービスも豪華すぎる観光列車でした。夏の休日だと指定席が取りにくくなるほどの大人気で、3編成も用意された列車のうちの2編成は既に2代目に突入しています。観光列車ではたいへん珍しいことです。

そして五所川原からは五能線の普通列車、キハ40。もうすぐ無くなるとの噂だしこの機会に、と思って乗ったのですが、その後しばらくして新型車両に代替。五能線のキハ40はこれが最初で最後の乗車になりました。

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