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セントレアの鉄道交通アクセス問題

近年、セントレアの新滑走路の話が本格的になり、交通アクセスの問題点の解決がますます求められてきている。そこで、今回はセントレアの交通アクセス問題に関して、これまで他の方々が論じてきたことをまとめつつ、持論を展開しようと思う。

交通アクセス上の問題点

現在のセントレアにおける交通アクセスは、自動車では、高速道路に乗って行くことが可能であるが、鉄道の場合、名鉄のみである。したがって、強風が吹き荒れることが発生した際には、セントレアはまさに孤島と化すことになるのである。それは絶対的に避けなければならないことである。

世界の旅客機取扱数(日本航空機開発協会 2021:Ⅰ-3)

また、2020年以降のコロナ禍を除いては、取り扱う民間航空機は右肩上がりを続けており、アジア地域も例外ではない。航空交通流管理(ATFM)は、この状況を受けて行われているものであり、まさにその象徴である。このように航空機が増加しており、言うまでもなく交流人口が増加しているなか、交通アクセスが脆弱と言うのは、誰もが目を覆いたくなるような事実である。

セントレアにおける鉄道アクセスとあおなみ線延伸計画(タビリス 2018)

そこで、計画と言ってもいまだ夢物語となっているのが、あおなみ線の延伸である。あおなみ線を延伸することで、これまでの問題であった「名鉄依存」から脱却し、バイパスが構築され空港側や乗客側にとっては一安心となる。また、リニアの開業に伴って交通網全体の底上げが求められていることも一要因である。その一方で、かつてより経営が厳しい名鉄にとっては、ドル箱路線であった空港線を取られることになり、ますます雲行きが怪しくなる。

そのため、名鉄の大反対を食らってなかなか動き出せていない状態にある。
たとえ、あおなみ線の延伸が実現したとしても、名鉄と一部線路を共用したりする点で、あおなみ線側がどれだけの線路使用料を支払えるのか、維持・点検の問題があるだけでなく、先ほど述べたように空港で強風に遭って止まってしまったり、共用している路線において人身事故が発生した場合には、もれなく2路線とも全滅になる。

そのため、私としては、お金がかかるが「完全地下化」によるあおなみ線の延伸が望ましいと考える。というのも、延伸によるバイパスを確保するのであれば、人身事故などの万一の事態が発生した際においても、影響を受けないようにする必要性があるからである。現在の計画では、先ほど述べたような問題点を克服するのは到底困難であり、地下にするほかない。ただ、海を渡る完全地下化は難工事が予想されるだろうし、たとえ建設されたとしても、あおなみ線の経営をかえって傾けやしないだろうか、という点でなかなか難しいところがある。

一部記事では、愛知環状鉄道やJR東海が乗り入れてはどうだろうか、と言った意見もみられるが、JRは半島を横断しなければならないことが建設費の増加につながっていることから、以前検討して挫折しているので介入する余地はない。一方、愛知環状鉄道は、岡崎方面に出られることから一部の顧客を獲得できそうな気はするが、衣浦などトンネルを越え、半島を越えるとなれば、たとえ黒字路線でも天文学的な数字の出費は明白であり、これも実現不可能のように思われる。

以上から、空港における鉄道交通アクセス問題を解決するには、やはりドル箱路線としている名鉄をどのように支えつつ、現在のセントレア事情を解決するために必要なあおなみ線の沿線方法を総合的に勘案するしかなさそうである。

参考文献

杉山淳一, 2018,『あおなみ線に空港延伸構想 - 名鉄はどう動く?』(2022年6月4日取得, あおなみ線に空港延伸構想 - 名鉄はどう動く? - 鉄道ニュース週報(140) | マイナビニュース (mynavi.jp)).
タビリス, 2018,『「あおなみ線」の中部空港延伸は必要か? 名古屋市が調査へ』(2022年6月4日取得, 「あおなみ線」の中部空港延伸は必要か? 名古屋市が調査へ | タビリス (tabiris.com)).
日本航空機開発協会, 2021,『令和2年度版 民間航空機関連データ集』(2022年6月4日取得, 38_ext_01_0.pdf (jadc.jp)).

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