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真夜中のキッチン。


水滴に、きれいな光が差していた。
薄暗いではなく、薄明かりの真夜中。

ガラスのコップが冷え冷えとして、透明な水滴をまとっている。
冷たい、喉越し。

冷えた、ミネラルウォーターが口の中に入ってくる。
キッチンの薄明かりの中。

木製のカントリー風なテーブルで、透明なグラスが水滴をまとって、薄明かりを浴びている。

本当は甘くはないはず。
甘くない水はそれでも、まろやかな甘みを甘美な褒美のように体に染み渡っていき
ひたひたと、私を満たした。

小さなガラス製の、コップでまた次も乾いた私を満たした。
薄明かりの光を浴びる、水滴をまとったガラス製のコップに見とれながら
水を注いではつぎ、何度目かにようやく満たし終えた。

空のコップの、水滴が少しすこしと消えていき、今度はツルツルと艶めいた顔をしている。

まだ使ってほんの二、三度の、綺麗なガラス。
唇を当てると、なんとも言えない口当たりでつるっとしていて、薄すぎず厚すぎずちょうどよく滑らかにやさしい口当たり。

ガラスなのに、硬い質感は感じない。
三分の一くらいの場所から、花びらが並ぶように模様が入る。
コップのふちから三分の一の場所にかけて、すこし厚くなっていく。

その厚みが軽すぎない印象を与え、かつ唇があったったときには滑らかに厚みを増やし、愛飲のミネラルウォーターを華やかに、やさしく演出しながら溶け込んでみせた。

コップの水滴が、乾いてすとんとした表情をしている。
すこし、そこに水滴が残ってまた薄明かりのキッチン。
木製のダイニングテーブルに佇んでいる。

とても素敵な、つや。

立ち上がって、すぐ横の冷蔵庫からまた透明なミネラルウォーターをとりだそうとしている。
喉が、乾いたので私はまた、この薄明かりの中で、水滴がすこし残ったガラスのコップに水を注ぐ。

嬉うれと、なみなみに、コップに水を注ぐ。
これから、また柔らかい時間を過ごす。

私は、これからすぐ隣の冷蔵庫からシンプルでラベルのない2リットルのミネラルウォーターをとりだして、小さなこのガラスのコップになみなみと水を注ぐ。

乾いた体に、しみわたるのは透明な愛飲のミネラルウォーター。

乾いた、コップはまたひえびえとし、グラスを華やがせる水滴をまとう。

ぱたん!
こぽぽぽこぽこ。

ラベルのない2リットルの、ミネラルウォーターをとりだして、甘美な水をなみなみと注ぐ。

おいしい、甘い。
ただの水が、甘い。

薄明かりのキッチンにしんとした空気とプラスチック製の軽い換気扇の音。山ずみだったキッチンの洗い物を終え、ガスコンロを掃除した後だ。

キッチンには洗い終えた、グラスが重なり明かりがちょうど当たっている。
清々しい。

3時40分、ちょうど。

また、透明なラベルのないシンプルなペットボトルから、小さなガラスのコップに水を注ぐ。

ラベルのないペットボトルもひえびえと水滴のベールをまとっている。
小さなガラスのコップとならんで、中の水はすこしの振動にプルプルと揺れている。

しんとした、薄明かりの。

真夜中のひとりごと。

清々しい姿のキッチンに、ふさわしいテーブルの二人。
小さなガラスのコップと、でんと隣に佇むラベルのない華やぐ薄いベールをまとった透明な2リットルのペットボトル。










過去を語り今を語り私の大切な記憶をここに残します。 思い描いていることを少しずつ何か形にしていく場所にしていきます。