見出し画像

運命を変える出会い #5

彼とのメールのやり取りは日に日に回数が多くなって
彼を好きだと自覚した私は素直にそれを喜んでいた

と同時に、彼の彼女に対する気持ちは複雑だった

だけどそんな気持ちを気にする余裕もないくらい
彼はどんどん私を本気にさせた

「飲み会で知り合った男性と食事に行くんだ。」
って話した時も
バイトの終わりに食事してたレストランまで迎えにきた

私は彼女じゃないのに
誰とデートしたっていいじゃん

だけど、嫉妬してくれたことに
心の隅では喜んでいたんだ

彼の彼女と私には相変わらず面識はないのだけど
共通の友人がいて

その友人と大学で顔を合わすたびに
心の中にもやがかかる

「そういやこないだ駅前でデートしてるとこ見ちゃってさ」
と不意に友人が話し始める

急に胸が苦しくなって
口に運ぼうとしていたコーヒーを
そのままテーブルに戻し
平然さを装いながら相槌を打つ

友人が見かけたその2人は
寄り添うように手を繋いで歩いていて
とても幸せそうに話をしていたらしい

もちろんその女性は私ではない
 (最近まったく会えてもないし連絡とってない
 なんて嘘ばっかり…)

こわばる顔を必死にごまかしながら
その場をやり過ごす

一瞬現実に引き戻された気がした

それでも、
彼からのメールひとつでまた気持ちが揺らぐ

すでに私の中での彼の存在は
とても大きなものになってしまっていた


前作【#4】 ◀︎  今作 ▶︎  次作【#6】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?