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運命を変える出会い #8

あの夜、私の中で何かが壊れた

きっとあの後彼女のところに行ったに違いない
そしてきっと彼女を抱いたんだ

そう思うと胸が張り裂けそうだった

自分で自分が嫌になった
なんでこんな自分になったのだろう

自分で自分が許せなかった
だけど、
それが彼の本心なのだろう

そもそも二股かけるやつが言う言葉なんて
信じてしまった私が間違いだった


私は普段は疎遠だったけど
マンションの下の階に住む同じ大学の同級生に
全てをぶちまけた

共通の知人ではない彼女に
今まで苦しくて誰にも言えないこの恋を
やっと吐き出すことができたのだ

「終わりにしな」
タバコの煙を細く吐き出しながら彼女は言った

冷たい言い方だったけど
このままずるずる関係を続けたところで
いいことなんて何もない

他にいい男がいるんだから
早く切り替えないと時間が勿体無いよ

私にもタバコを差し出し
彼女は早くも二本めのタバコに火をつける

タバコを指に挟んだまま
グラスを持ってお酒を飲む姿が
やたらとかっこよく見えて
思わずクスリと笑ってしまった

「ほら、今から話があるって、彼に連絡してみなよ」
今まで連絡をくれるのはいつも彼からだった
その話を聞いていた彼女は
彼がどんな反応をするのか面白がっているようにも見えた

大事なのは勢いだ!
こうなりゃ、当たってこっぴどく振ってくる!
なんて、そもそも付き合っていたのかも疑問だったのに
そんなことはお構いなしに
彼女に言われた通り、彼にメールを送った


…ピロン♪

「きた!」
と思わず目を合わせる

『家にいるの??すぐ行くよ!待ってて!』

彼女はにっこり笑いながら
私を部屋から追い出した

「がんばれ」

私は部屋に戻るなり服を着替え
急いで体についたタバコの匂いを消す


プルルルルルル……プル。
少し震える手で携帯の着信を見る
部屋じゃなく外で話したいと言っていたので
いつものように到着を知らせるワンコールが入った

「よし!!」
お気に入りのヒールを履いて気合を入れ
部屋を飛び出した


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