世界のメジャーな都市名がポルトガル語では…
ブラジルのポルトガル語では
アムステルダムのことを
Amsterdã【アミステルダン】
というのに対して、
ブラジル以外のポルトガル語、つまり欧州葡語では
Amsterdão【アムステルダゥン】
といいます。
地名は、発音の違いを除いて
両葡語間で一致することが比較的多いジャンルなのですが、
こちらのケースのように語尾が異なるものもあります。
この「アムステルダム」のように、メジャーな地名が異なると、
伯欧葡語話者双方が違和感を感じますが、
互いにどこのことなのか分からないほど違うということは稀です。
メジャーな都市名の両葡語間で語尾が違う例としては
次のようなものを挙げることができます。
・ テヘラン:
(伯:Teerã【テエラン】、欧:Teerão【テエラゥン】)
・ バグダッド
(伯:Bagdá【バギダッ】、欧:Bagdade【バグダードゥ】)
・ ヘルシンキ
(伯:Helsinque【エウスィンキ】、欧:Helsínquia【エルスィンキア】)
・ モスクワ
(伯:Moscou【モスコウ】、欧:Moscovo【モシコーヴォ】)
*****
が、
上記程度であれば両葡語話者間の会話なら、
お互いどこのことだか分かりますし、
日本人でも「恐らく○○じゃない?」と、
推測がつくレベルです。
一方、
日本人が聞くと「どこのことやら」
と感じてしまうものもあります。
例えば、
・ コペンハーゲン
伯:Copenhague【コペニャーギ】
欧:Copenhaga【コペニャーガ】
・ミュンヘン
Munique(伯:【ムニッキ】、欧:【ムニック】)
・ケルン
伯:Colônia 【コローニア】
欧: Colónia 【コローニア】
といったケースです。
ちなみにこの「コローニア(=ケルン)」は
両葡語とも一見同じに見えますし、
多くの日本人の耳にも同じに聞こえる可能性がありますが、
アクセント表記が異なり、
欧州葡語では「ロ」が開口音となることから、
葡語話者同士の会話では互いに違和感を感じます。
*****
あるとき、
アンゴラ共和国のナミベの空港に着くと、
めずらしく、ほぼ同時に到着した別の飛行機の乗客もいて、
やけに混雑していました。
荷物を待っていると、
後方の小さなカウンターで
警察官っぽい制服を着た人が、
アメ横のたたき売りのおっさんのような調子で
「ヴィーンドゥッケ、ヴィンドゥッケ~!」
と怒鳴り始めました。
「ヴィンドゥッケ?!聞いたことない単語!なんだろう?」
と思っていると、
一部の乗客は、荷物が揃うやその警察官っぽい人のところへ
向かいます。
乗客が近づくと、警察官っぽい人は、今一度
「ヴィンドゥッケ?」
と訊ね、乗客がうなずくと、
パスポートをチェックして、向かう方向を示します。
「いったい、ヴィンドゥッケって何なんだ?そもそも何語?」
と、いぶかしく思いながら見ていたところ、
私の隣にいた人の荷物が出てきて、
ふと、その人がカートに置いたスーツケースに目をやると、
大き目のネームタグに答えが書いてありました。
「そうかぁ~!ウィントフックかぁ~!!」
ああ、すっきりした~~!!!
ウィントフック(アフリカーンス語: Windhoek)は、ナミビアの首都。
ドイツ語読みのヴィントフック (Windhuk) と表記されることもある。
Wikipedia より。
ドイツ語表記の Windhuk は、
「W」が「ヴァ」、「ヴィ」、「ヴ」、「ヴェ」、「ヴォ」になり、
「H」は読まず、「K」が母音を伴わないことはあり得ない
ポルトガル語では、
まさしく「ヴィンドゥッケ」以外の何ものでもありません。>笑
小さな飛行場に国内線と国際線が一度に到着しまったので、
入管警察の人が乗客の仕分けをしたいけれど、
英語はおろか、ドイツ語なんて分からないから、
「ウイントフックからの便で来た方はこちら~」
という意味を込めて
「ヴィーンドゥッケ、ヴィンドゥッケ~!!」
とやってたのね…。
ああ、ない脳みそを回転させてしまって損したわ…! >笑
ということで、
お粗末さまでございました!
※ 「落語 猫」はこたつぶとんさんの作品です。
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