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街路樹は見ていた

45年前、日本の人気バンド「アリス」が
出した名盤「アリスⅥ」の中の一曲に
こんな歌詞があります。

♪「人影も見えない駅の
椅子にそっと寝転んで
煙草を吸っていた。

街の灯がともり始めて
こんな私に問いかける、
寂しくはないかと。

夢だけはなくしてない
たとえ今日が悲しい日でも。

街路樹はいつも見ていた
こんな私のちっぽけな
喜びと悲しみ」♫

アリス「街路樹は知っていた」
作詞:谷村新司、作曲:堀内孝雄

ここ数日のテレビニュースで
ある企業が除草剤などをつかって
街道沿いの樹木を枯らさせたとの
疑いがあることを知りました。
ロードサイドビジネスとしては
街路樹は邪魔だと。

この報道で僕は45年前、
中学生の頃に夢中で聴いてきた
アリスのこの歌を思い出したのです。

当然のことですが、
街路樹は私有地の私物ではなく、
その殆どを自治体が管理しています。
街の美化や事故防止のために。

思えば、街路樹は生活者を見ています。
擬人化というより、どこかリアルに
そう思うのです。
その地域に生きる人たちの暮らしを
何年も見続けていると。

誰も知らないあの人の配慮。
知る人ぞ知るあの人の優しさ。
そしてときに、
言いたいけど言えなかった
誰かの悔しさも、
心の内に秘めた、
伝えられなかった、届かなかった
誰かの想いも。

うたかたの夢も希望も。
喜びと感謝も。切なさも儚さも。

全てを街路樹は知っていると。

豪雨や強風を浴び
灼熱の陽に耐え抜き
孤高に立つ街路樹。

今更ながら街路樹に
ありがとうを捧げます。

♫「通い慣れた駅までの道、
今日は何故か涙が落ちて。
街路樹はいつも見ていた
こんな私のちっぽけな喜びと悲しみ、
喜びと悲しみ、喜びと悲しみ」♪

アリス「街路樹は知っていた」


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