素直で正直な兄妹の物語

母が生き方が不器用な兄を優先する(せざるを得ない)為に、自分に向けられる愛は少ないと寂しく思いながら生きてきたと、自分の本心をちゃんと受け入れている羽衣子だからこそ、反目する道の発した素直な言葉に心動かされることができたのかもしれないと思う。自分に正直にしか生きられない道だからこそ、人はひとりひとり違うということが誰よりも理解でき、そのぶれない、揺るぎない生き方、在り方、発言が、人を、人の心の凝りを溶かしていく様に考えさせられ、小手先でどうこうしようとジタバタしている私自身を恥ずかしく感じたりもした。母の愛だけでなく、才能も道に対して羨んでいる羽衣子、誰とでもそつなくうまくやれる羽衣子と比べてできないことだらけの自分と思っている道。羨ましく思っている相手が自分を羨ましく思っているなんてこと、兄妹に限った話ではないと思いたい、信じたい。

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