大人の階段のぼってる？私の好きなジャケットは変わりモノ

中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る（41歳）までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。

自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。

これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。

読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。

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：Episode.64
『FRANK LEDER ARCHIVE EDITION SLEEVES JACKET』

【FRANK LEDER】ARCHIVE EDITION SLEEVES JACKET-SLOW&STEADY

今回も前回に引き続き、ドイツの洋服ブランド、フランクリーダーのジャケットを紹介する。

このジャケットを購入したのは2年前。
それ以来、この時期になるとかなりの高頻度で着用している。

〜 大人の階段を登りたい 〜

洋服好きにとって一番厄介なのが普段着における T.P.O である。
冠婚葬祭は別として、デートや仕事での打ち合わせ、職場の飲み会など、会う人や場所に応じて洋服を使い分けするべきだとわかっていても、

「今日はこれを着て出かけたい」

そんな洋服好きのプライドが T.P.O に準ずることを邪魔してしまう。普段から突拍子のないスタイルではないにしろ、洋服が好きすぎるとどうしても自分中心的な着こなしになりがち。

『洋服が好きすぎ、結果空気を読めていないコーディネートをしてしまう』

私も20代そこそこの頃は、井の中の蛙状態で、勢いに任せた結果、恥ずかしい思いを何度したことだろう。そんなことを何度も経験し、洋服好きは少しずつ角が取れていい具合に力を抜けるようになっていくのである。

『自分だけがカッコよくても、その場に合わせて清潔感ある着こなしをしている男性の方が圧倒的にかっこいい』

そんな当たり前の常識にようやく気づく笑。

私が2年前に手に入れたフランクリーダーのジャケットは、まさに脱力を覚えた洋服好きにはたまらないジャケットである。

〜 大人の階段を登りたい 2 〜

最大の特徴は、前後の身頃には前回も紹介した伝統ある非常に上質な "ローデンウール" が使用されているのだが、袖がスウェット素材（トレーナーを想像して欲しい）で作られている。

袖だけ素材を変えているジャケット自体はそう珍しくないのだが、このスウェット生地もまた、ドイツの古い吊り編み機を使用したもので、非効率だがハリとコシのある非常に素晴らしい素材である。

当然、通常のウールジャケットより着やすく、肩肘を張らず軽く羽織れるうえに、ローデンウールの質感と、コシを失わないスウェット素材どちらも思う存分に堪能できる。

〜 大人の階段を登りたい 3 〜

使いやすいのに洋服好きのプライドまでも包み込んでくれるほどのクオリティーと満足度。これならどんな場所にだって迷うことなく着ていける。

私の場合、洋服のシルエットを壊さない範囲でジャケットの着丈を1.5cmだけ短くカットした。

既製品というのは、全ての体型を各サイズに振り分けている。自分のサイズに合わせてオーダーメイドで作られたものではないのだから完璧でないのは当たり前。

自分の好みのサイズがはっきりしており、その洋服の特性を理解できているなら必要に応じたお直しはすべきだと個人的には考えている。

私の店では、アイテムの特性ごとに、腕の良いお直し屋を２箇所使い分け、クリーニングも高級衣料専門で店やブランドだけを顧客にしている会社と契約している。

良い洋服というのは育つまで時間がかかるものが多い。良いモノになる才能を持った洋服を手に入れても、何もせず放置していたらポテンシャルの数％しか発揮できないままクローゼットの肥やしとなる。

周りの状況が変化しても着用可能なモノを自分のサイズに合わせて、肩肘張らず、気をてらうことなく、自然体で着用する。そして洋服は定期的にメンテナンスする。

そんなことも若い頃には考えられなかったこと...

こんな自分でも少しは大人の階段を登っているのかもしれない。

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