[続.洋服物語] タップダンスを踊りたくなる私の定番チノ。
中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。
自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。
これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。
読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。
:Episode.4
「PORTER CLASSIC ASTAIRE CHINOS」
今回は2020年にリリースされて以来、私がかなりの高頻度で履いているチノパンを紹介する。
取り扱っている日本のポータークラシックが作っているもので、細めのテーパードシルエットながらお尻周りは余裕を持たせたパンツで、スリムな割に動きやすい。さらにレングス(長さ)も9分ぐらいに設定されており非常に使い勝手の良い一本である。
このパンツにつけられた "ASTAIRE" というのは、アメリカ合衆国ネブラスカ州生まれの俳優でありタップダンサーであるフレッド・アステアの名前がつけられている。舞台から映画界へ転じ、1930年代から1950年代にかけてハリウッドのミュージカル映画全盛期を担った立役者である。
このブランドが作る定番パンツは3型あるのだが、ビング・クロスビーやルイ・アームストロング(通称サッチモ)など、どれも実在した人物の名前が付けられている。3人とも1900年代を代表するミュージシャンたちである。
:チノパンの由来
現代の洋服の多くが軍服からきていることは何度も書いてきたが、チノパンはまさに戦争の副産物代表と言える。まずはチノパンの説明をしておこうと思う。
19世紀半中頃、インドに派遣されていたイギリス陸軍のユニフォームズボンが白だったため、砂漠地帯が多いインドではかなり目立ってしまう。
そこで、当時の連隊長であったハリー・ラムズデン卿の指示により、ボトムスを泥水などで染めたのがチノパンの始まり。
ちなみに、この時誕生したボトムスの色は、後にミリタリーの代表色である「カーキ」と呼ばれるようになる。
その後、そのカーキ色のパンツはイギリスで大量に作られ、その余剰品がインドから中国へ輸出されることとなる。
その後、1800年後半、アメリカ軍がフィリピン駐在用にチノパンを中国から大量に買い付けた。中国(China)から買い付けたパンツであることからCHINO PANTS(チノパンツ)と名付けられたのである。
なんとなくチノパンと聞くと固くて頑丈なイメージを持つ方も多いと思うが生まれた経緯を考えれば正解である。
そんな、どちらかというと土臭くワークウェアーとしての要素が強いチノパンだが、このポータークラシックが作るチノは一味違う。
確かに「チノクロス」という厚手の綿の生地を使用しているのでチノパンなのだが、巷のチノパンに比べてかなり上品な印象を受ける。
色を黒にしているというのもあるだろうが、私が強く品性を感じるのはそこではない。頑丈で通年使えるというチノクロスの汎用性はそのままに、スポットライトを浴びたフレッド・アステアが今にもタップダンスを踊り出しそうなスッキリと高級感のあるシルエットがチノパンのイメージを払拭させている気がする。
トップスを選ばず履ける絶妙なバランスに加え、素材が高品質だということもまた私がこのパンツを履き続けている理由でもある。2年近く何度洗っても変色せずハリをキープしている。
ウール、コットン、リネン、私が好きなパンツの素材は天然素材のものばかりだが、デニムパンツ然りコットン製の強くてガンガン洗えるパンツが結局一番着用頻度は高くなる。
自分の定番と言えるチノパンが見つかるだけでもコーディネートは驚くほど楽になる。定番がまだ見つかっていないのならぜひ試してみてもらいたい一本である。
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