[続.洋服物語] フランス庶民の普段着。その名はグランパ。
中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。
自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。
これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。
読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。
:Episode.30
「1950s Grandpa Shirt」
以前から少しずつ集めていた1950年代、フランスのグランパシャツを店頭に出した。10年近くまえであればもう要らないというほど集められたのだが、ここ最近、古いモノは少しずつ少なくなっている。
Grandpa(グランパ)とは、グランパシャツは英語でおじいちゃんという意味を持つ。まるでおじいちゃんが着ていたものということなのだろうか?いつから言われるようになったのかは定かではない。
個人的にはファーマーシャツという名称の方がしっくりくる。ヨーロッパの庶民が好んで着ていたシャツである。20世紀初頭にブリーフやトランクスができるまで、19世紀の一般的な下着というのは、手首から足首まで全身を覆うユニオンスーツと呼ばれるものが主流だった。
防寒対策も含め、裾の長いシャツをタックインしお尻や股間を保護していたのだ。そのためこういったシャツは着丈が長く作られているのだが、昨今のオーバーサイズブームも相まって男女ともに人気が高まっている。
私自身は古い時代特有の色合いのチェック柄も好物だし、コーディネートも楽だということで昔から好きなアイテムの一つである。
若いスタッフたちに、そういった洋服の背景にまつわることを教えるのも私の仕事でもあるのだが、最近はもっぱらこのnoteマガジンが大活躍している。一旦記事を読んで、分からないことをそれぞれが聞いてくるので、スタッフたちにとっても店頭で活用するいわば洋服の取り扱い説明書のような感覚で呼んでいるのかもしれない。
そんな余談はさておき、こういう古い物というのは、破れやほつれといった洋服のダメージとどう付き合い、どう捉えるかというのも大切である。
ダメージが酷いものでも、チェック柄の風合いやサイズ感がよければ仕入れて、個人的にストックしている生地を使って直して店頭に並べている。
なかには当時の人が直したであろう物も少なくないのだが、グッドリペアと呼ばれる当時の持ち主が上手に直しているものは、より一層、洋服に深さを加えているような気がする。
「破れたら終わり」そんな刹那的な洋服が歳を重ねるごとに苦手になっている。やはり私はファッションが好きではないのかもしれない。過度に流行を追いかけなければ成立しないスタイルはもう疲れた。
肩肘張らず、好きなものを直しながら着ているぐらいが一番オシャレだと私は思う。
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