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[続.洋服物語] 理想の帽子物語。奇跡は何度だって。 (前編)

中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。

自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。

これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。

読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。


:Episode.18
「Painted Blank "Carlino"」

今回は、オリジナルブランドで来月リリースする新作の帽子を紹介しようと思う。名前は Carlino(カルリーノ) 小さな男性という意味のイタリア人男性の名前がつけられたベレー帽である。

帽子(キャップやハット)選びというのは洋服以上に難しい。頭のサイズがそれぞれバラバラというのは洋服と同じ条件だが、人間の頭にしろ顔にしろ左右対称でもなく、被り物によって顔の印象が大きく変わるからである。

人が真っ先に見るのは相手の顔である。一番視線が集まる頭部に纏う帽子なのだから制作するとなると相当シビアになる。半ば諦めていたなかで奇跡的に生み出された帽子が数年前に完成した「Like A Kid Hat」である。

1921年公開のサイレント映画『The Kid』劇中に出てくる男の子(ジャッキー・クーガン)が被っている帽子の大人版といえばよいだろうか。

それが長年、私が思い描く理想の帽子だった。

↓こちらの記事に詳しく書いています。通常は有料設定していますが、しばらく無料で読んでいただけます。

海外での活躍後、日本に帰ってきた2人のデザイナーとの奇跡的な出会いから始まり、完成したこの帽子は全てオーダーメイドでありオールハンドメイド。

実際の作業風景

私の店では随時オーダーできるようにしており、その人の身長、体重、頭の大きさを考慮してオーダーをかける。ありがたいことにこの帽子はすでに県内外、100人近くのお客さんたちに届けている。

「一生この帽子は被り続けるだろう」本心でそう思っている。

現に私は同じ素材、同じサイズで3つ。素材違いで2つ手元に持っている。ここ数年にわたりほぼ毎日被り続けている。(YOUTUBE動画を見てくれれば同じ帽子を被り続けていることがお分かりだろう)

唯一、気になっている部分があるとするなら、この帽子のアイコンでもあるツバの部分が邪魔になるときが稀に起こるということだった。

今まで100人近くに届けているということは帽子を被りたい日に被れず、その日のスタイリングを変える人が同じ数だけいるのではないかと徐々に思い始めた。

そんなふとした思いから今回の帽子Carlinoが誕生することになるのだが、何度も書くが帽子は洋服より難しい。サイズやボリュームなど数ミリ違うと全くフィーリングがまるっきり変わってくる。

例えば、毎日顔を見ている人の眉毛が、1ミリ細くなったとしたらどうだろう。気づく人も多いのではないだろうか。それほど帽子というのはシビアなのだ。

仮にオリジナルブランド「Painted Blank」の新作として新型の帽子をリリースするとなっても間違いなく量産はできないだろうと思った。理由は簡単。数ミリ単位の微調整までは工場に頼めないからである。

駒かな微調整を繰り返しながら私の理想を具現化させた「Like A Kid Hat」そのクオリティーを量産体制を組んだうえで越えることなど100%できない。

仮にハンドメイドであっても作り手が変われば同じこと。やはり今まで100人のオーダーに応え続けてくれた2人に頼むのが理想であると判断した。

理想の帽子ができるまで、私は基本的にベレー帽をかぶっていた。私が好きな洋服との相性が良いからである。国内外、さまざまなメーカーのベレー帽を使っていたのだが、基本ベレー帽はウール素材で夏場に使えるベレー帽は数少なく毎年困っていたのを思い出した。

作るべき形はベレー帽に決まった。もちろんだが、ウールではなく通年使える素材でなければならない。

現在店頭で予約可能な素材シート

さらに、使用する生地にしても今まで以上に物語の詰まったものでなければならない。現在、オーダー可能な素材もデザイナーお二人が独自ルートで探してくれた素晴らしい素材ばかり。

それを越える素材かつ、今までの帽子が仮に、300日被り続けられるものだとするなら、365日被り続けられる帽子でなければならない。ツバが邪魔な日があるからとツバだけ無くしたデザインでは間違いなく前作を越えるものにはならない。

それをありのまま2人に伝えた。

快くベレー帽の制作に協力してくれることとなった。そこから細かい部分を徹底的に話合いを重ねて突き詰め形を一から作っていく。ある程度固まった時点でひとまずサンプルを制作してくれることとなった。

数日後、サンプルを手にした2人がやってきた。緊張しながら試してみた…。

続きはまた次回。


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