![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87773835/rectangle_large_type_2_52a9babf4795b1552027068cd0fc4cc4.png?width=1200)
冷静と情熱の向こう側 私の作った黒いヤツの話 (続編)
中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。
自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。
これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。
読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。
Episode.38
『Painted Blank "Stephan"』
〜 旅の続き 〜
先日紹介した私のディレクションするオリジナルブランド『Painted Blank』の2作目 "Stephan(ステファン)" という名前をつけたシャツだが、生地を変えた別バージョンが店に届いた。明日の9/2日から販売を開始する。
今までオリジナルブランドに関しては制作過程などを中心に書いてきたが、初めて現在進行形の記事である。
今日は、セカンドバージョンを作る経緯と作る過程を販売前にお伝えしようと思う。
「この記事が完成しなければ店頭にも並べない」
トンチンカンなマイルールを決めてしまった。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85931972/picture_pc_5f27f121feffdadcab7e404ce2a0098e.jpg?width=1200)
「またいつものヤツが発動した」とスタッフは苦笑い。
ヤツがパンパンに入った大きな段ボールは私の目の前にあるのだが、検品だけ済ませて段ボールへ片付けた。
「飛びついて商品を眺めていたい..」
そんなハヤる気持ちを抑え込んでパソコンに向かっている。
(9月1日:13時現在)
形もボタンも変えていないこのセカンドバージョン。あとで詳しく書くが、
とある生地に惚れ込み「この生地であのシャツをもう一度、作ってください」と岡山の縫製工場の社長に伝えた。
「52〜54枚」それが私が購入した生地で作れる枚数だと後日連絡があった。
同じ形はサンプルを制作しないという話も聞くが、性格上、必ずサンプル制作はする。素材が変わることでフィーリングが違うというのは当たり前。独自のパターン(設計図)を持つこのシャツなら尚更である。
このシャツ(墨染めリネン)に関しては現在も繰り返し着用を続けているが、直すところが見当たらない。生地を変えても "そのまま" それが難しいのは私もよく理解している。
「サンプルを見てみないとわからない」
いつまで経っても、
洋服は現物を見ないと最終的には判断できないのだ。
〜 マテリアルに心奪われたあの日〜
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85950267/picture_pc_909965579f4d9545ff402e944992cafb.jpg?width=1200)
実は半年前、3作目のアイテム(半纏ジャケット)を制作する際に見つけた、とある生地に私は心を奪われた。
福岡県筑後地方の代表的な織物「久留米織」の生地だが、筑後地方の代表的な織物である久留米縞を由来とするこの生地は、複数の糸を使って生み出す伝統的な織り技術と、手作業に宿る温かみが共存する素晴らしい生地。
半纏ジャケット(3作目)を制作にあたり、長年にわたり門外不出だったその生地を使わせてもらえることになった。50種類以上の生地サンプルを見た時は震えるほどの興奮を覚えた。
そのサンプルのなかに入っていた「ひきそろえ」と呼ばれる、
やや厚手のコットン素材に私は目が止まった。
真っ黒でありながら独自の凹凸(おうとつ)が生み出す趣ある表情は、日本の職人の力強くも繊細な技術を垣間見ることができる。
なぜかジャケットよりシャツが頭をよぎり、前回の墨染めを施した素材に負けず劣らずの素材だと思った。
シャツ生地として使用するうえで私が求めていたやや厚手でありながら通気性よく加えて、シワになりにくくドライタッチな肌触りは通年の着用に最も適している。
その瞬間、
すぐにその黒い生地を確保してもらった。
そもそも交渉の末、特別に使わせてくれることになった生地「今しかない」そう思ったからだ。
3作目の裏地の前に2作目の再リリースが決まった。というより決まってしまった笑。
〜 遠回り 〜
サンプルが届いた。素材とシルエットの相性は思った以上に抜群だった。
が、生地の特性上、想像以上に縮みが強く出るということが判明した。
サンプルの着用感としてはワンサイズ以上の縮みがでているようだった。
コストはかかるが、今回の生地を使う専用のパターン(設計図)を作り直すことにした。
いちから作ることを考えれば大きな壁ではなかったが、つくづく遠回りが好きなようだ。
〜 自分へのご褒美 〜
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85950282/picture_pc_2dd2780288a7e0a4344f87f8058f2375.jpg?width=1200)
実はこのアイテムは仕上がりが縫製ラインの関係で「9月中〜末頃になりそう」だと言われていた。
ただ「9月4日の自分の誕生日に自分の作った新しい洋服を着たい」という私がボソッとつぶやいた、ただのわがままを縫製工場の職人さん達が叶えてくれた。
無理だと思っていたので嬉しいサプライズである。お礼に実家の梨を発送した笑
発売日は明日。
良い誕生日を迎えられそうだ。
【商品詳細】
9月2日12時よりWEBページにも商品アップします。
【このマガジンの他の記事はこちら】
【『僕の洋服物語』にくわえて舞台裏、ほかの有料記事をまとめました】
【定期購読マガジン】
【外部リンク】
:ショップ・オリジナルブランド
「SLOW&STEADY」
http://slow-and-steady.com/
「Painted Blank」
https://paintedblank.com/
:instagram
https://www.instagram.com/at_slowandsteady/
:twitter
https://twitter.com/sas_tksm
【お便りフォーム】
洋服にまつわる、困ったこと、疑問や質問、着こなしについてなど、
皆さんお気軽にお問い合わせください。
📩 公式LINE
ここから先は
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111841566/profile_017d2b986513cfa7de379927aa3d9f7f.jpg?fit=bounds&format=jpeg&quality=85&width=330)
Masahiro's note -EpisodeBlue-
【定期購読マガジン】 "これから店を始めたい" ”店の売り上げを上げたい” "本気でアパレルをやってみたい" "洋服について勉強したい"…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?