見出し画像

浜町川と鞍掛橋

スローリー余話
川と橋と美味しいもの#2

江戸時代から多くのひとびとが暮らし商いが盛んだった神田や日本橋などには現在は埋立られてしまった河川や運河が多くあります。全国各地から集まる米や材木、御酒などの重く大量の荷物は、江戸湾からそれらの河川や運河を舟で運ばれ江戸経済のインフラを支えていたのです。

関東大震災後に架け替えられた鞍掛橋(1930年頃)写真提供:中央区立京橋図書館

浜町川もそのひとつ。千代田区岩本町あたりの神田川から分岐しこれも今はない箱崎川を経由して隅田川に通じる運河でした。都市開発にともない浜町川も鞍掛橋もその名残はほとんどありませんが江戸通り馬喰町と小伝馬町の境あたりにある信号にその名称が残っています。

江戸時代この付近は奥州街道の旅人宿が多く、その後は繊維問屋や金物問屋などで賑わってきました。この街で150年以上続く『伊勢重』は、東京で最も歴史あるすきやき店として知られています。
(以下『東京Slowly² vol.3』最新号より)

大切にいただきたくなる“すき焼き”
伊勢重


上等なお肉が「美味しく」なる瞬間

1869(明治2)年創業、東京で最も歴史のあるすき焼き店。厳選されたA5等級の中でも厳選された黒毛和牛を熟練の職人が包丁で一枚ずつ丁寧に切り出し、特注の鍋台を使用した「水火鉢」と呼ばれる炭のコンロで、秘伝の割り下でいただくスタイルは世紀を超えて多くの人に愛されてきた伊勢重の『すき焼き』だ。「問屋街なので遠方の常連さんも多い」と語る七代目のご主人・宮本尚樹さん。名物の『牛佃煮』は土産物として重宝されたという。


炭火で調理する昔ながらのスタイル

牛肉と向き合いながら一枚一枚、手切りだされたお肉を優しいスタッフが炭火の様子を見ながら最高の状態で提供してくれる手間をかけた『すき焼き』を口に含めば美味しい余韻を残しながら“溶けるように”なくなってしまう。上等な牛肉と、受け継がれた技術と接客によって完成する唯一無二の贅沢な美味しさ。是非大切に味わっていただきたい。


七代目の若主人・宮本尚樹さん

伊勢重
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町14-9
03-3663-7841
営業時間:11:00-16:00 16:30-22:00
定休日:日・祝