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2024年4月は大暴落のフィリピンマーケット。利下げは2025年まで延期か?


どうも、

久しぶりの投稿です。

フィリピン株は4月に入ってからマクロ経済や地政学的な問題を背景に大きく下落していますが、

今回は2024年4月のマーケット状況と今後の予想、今注目のセクターと銘柄についてご紹介します。


【フィリピン情報ブログ】


4月のマーケット振り返り


振り返ってみると、2024年の第1四半期のフィリピン株式マーケットはかなり強気でした。

フィリピン株式指数(PSEi)は年初の6,450から4月初旬に今年最高値となる7,021まで8.9% も上昇し、昨年11月に付けた5,920からなんと18.6%も上昇したことを意味しています。

しかし残念ながら、この上昇は持続的なインフレ上昇と中央銀行の利下げの遅れ懸念、地中東の混乱激化を受けて完全に勢いを失ってしまいました。

4月16日にPSEiは今年最大の下落幅‐3.2%を記録して、その後も9日間の連敗で 2016年10月以来最長の連敗を記録しています。

チャートも昨年11月から続いていたトレンドラインを割り、下落トレンドへ切り替わっていて、4/23現在、6,500ドルの水準を回復しています。

昨年も年明けから楽観ムードで上昇してから、その後下落していき2年連続でマイナスでクローズしたことを考えると、昨年と同じような結果になってしまうのでしょうか?


利下げは2025年か?

今後のフィリピン株の相場予想に関して話す上でもっとも重要なファクターとして、利下げのタイミングがあります。

フィリピン中央銀行(BSP)はこれまでのところ、金利を6.5%に据え置いていますが、BSPがタカ派姿勢を維持するきっかけとなっているのは、持続的な高インフレによるものです。

フィリピンのインフレ率は2024年2月の3.4%から2024年3月には3.7%に加速していて、年初から現在までのインフレ率は3.3%となりました。

このままではBSPの目標である2~4%を突破する可能性があることに加えて、中東情勢も悪化し、FRBによる緩和の遅れへの見方が高まっていることなどもあります。

4月15日にフィリピン中央銀行総裁イーライ・レモロナ氏のインタビューで、政策スタンスについて「我々はしばらく引き締めを続けることを検討している」と述べ、

金融緩和についても「2025年の第1四半期に開始される可能性が高く、さらに利下げ幅は大幅なものではなく、基準金利を現在の6.5%から中立金利約6%に近づけるのに十分な程度だ」と付け加えています。

注目のセクターと個別銘柄

では最後に、現在の市場と今後の予想を踏まえた今、注目のセクターは「銀行」です。

昨年に引き続き、高金利の状況下では銀行セクターが上昇する可能性があります。

また、COLフィナンシャル・グループの首席株式ストラテジスト、エイプリル・リン・タン氏も予想される金利引き下げが「融資の伸びの加速」につながるため、銀行業界の2024年の見通しは明るいと語っています。

ムーディーズ・レーティングスでも、小売業や中小企業(SME)への融資による利息収入の増加は、引当金や資金調達コストの上昇によって相殺される可能性があるため、フィリピンの銀行の利益は今年も安定的に推移するだろうと述べています。

BDO


SMグループのBDO Unibank, Inc.は中核事業の持続的な業績の拡大により2023年の純利益はフィリピン企業史上最高額の734億ペソを記録し、2022年の571億ペソから28.5%増加しました。2024年第一四半期も引き続き好調で前年同期12%増加の185億ペソとなりました。同社は2024年も引き続き長期にわたる高金利環境下でも融資は増加すると予想しているため、今年は少なくとも740億ペソの純利益を見込んでいます。

BPI


アヤラ・グループのフィリピン諸島銀行(BPI)は、金利上昇による利息収入が急増したことにより、2023年に2年連続で過去最高益を記録しました。2024年第一四半期も前年同期比25.8%増の153億ペソと好調です。BPIのエリック・M・ルチャンコ最高財務責任者によると、BPIはロビンソンズ銀行との合併後の6%の伸び率により、今年の融資額が11~12%増加すると予想しています。

メトロバンク


メトロポリタンバンクアンドトラストカンパニーは、総資産2兆8,000 億ペソを誇る国内第2位の銀行で、自動車や小売、金融の分野で国内最大のGT Capitalグループ傘下の企業です。同社は2023年の純利益が大幅に増加し、2022年327億8000万ペソを29%増となる過去最高の422億ペソになりました。

まとめ

フィリピン株式指数PSEiは年初来8.9%も上昇しましたが、持続的なインフレ上昇と中央銀行の利下げの遅れ懸念、地中東の混乱激化4月初旬に今年最高値を付けてから6,500レベルまで下落しました。

2024年の第二四半期から行われると楽観予想だった利下げも継続的なインフレにより2025年の第1四半期まで後ろ倒しされる可能性も出てきました。

しかし今年も引き続き銀行セクターは高い成長が期待されていますので、今回の下落のタイミングで銀行株を検討してみてはいかがでしょうか。


引用:
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-04-15/philippine-central-bank-chief-sees-rate-cut-more-likely-in-2025

https://www.bworldonline.com/banking-finance/2024/03/15/581877/moodys-ratings-philippine-banks-profits-to-remain-stable/


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