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【フィリピンの通信株】GlobeとPLDTはDITOよりもコンバージICTをライバル視してるワケ

どうもshoheybeatzです。

2021年第3四半期の決算が発表されてきてますが、フィリピンのテレコム企業の決算発表も終わりました。

しかしここで驚くべきニュースが入ってきました。

先日、今年12月中にSROを通じて1株あたり6.11ペソから7.00ペソで最大80億ペソの新株を売却する予定が発表されていたDITOが、

何と第3四半期、大赤字!という記事が出ていました。

これは一体どういうことなんでしょうか?


しかもグローブテレコムの最高責任者が、コンバージICTをDITOテレコミュニティよりも重要な競争相手と見なしていることをほのめかしているということも報道されてます。

一体、今フィリピン通信業界で何が起こっているのか?

昨年あれほど注目されていたDITOはもう歴史のすみに追いやられてしまうのでしょうか?

そこで今回はDITO、Globe、PLDTそしてコンバージICTについて、第3四半期の決算や直近のニュースをもとに2021年末のフィリピンの通信業界について解説をしたいと思います。

DITOが28億ペソの純損失!?

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DITO CMEは、Ayala財閥が所有するGlobe TelecomIncとPLDT Incの長年の複占を打破するために、3番目の通信会社として今年3月に営業を開始しました。

営業開始後わずか数か月で100万人目の加入者を獲得し、6か月で400万人の加入者を突破。

2021年中には500万人の目標にしており、フィリピンの人口カバレッジの51.01%を超えるセルタワーを建設に成功しています。


・・とは言え、加入者に関しては2021年6月の時点でGlobeが8,170万、PLDTは7,168万人と明らかに2社と差がありすぎます。

Globe Telecomの最高責任者Cu氏は、8月の時点でDITOが200万人の加入者を突破したことについて、「加入者は収益ほど意味がない」と言っていましたが、その収益について第三四半期の報告によると


Dito CMEは1月から9月にかけて3億2700万ペソの収益を上げ、2億8700万ペソの粗利益を生み出しているようですが、

スタートアップの全国的なネットワーク展開により資本の流出が余儀なくされたため、営業費用が17億4600万ペソに膨れ上がり、14億5900万ペソの営業損失が発生しました。

13億4000万ペソのその他の費用を含めると、DITO CMEの今期の純損失は28億800万ペソに達しています。

3月にDITOの商用展開が開始されて以来、現在340の市町村に存在し4,400を超えるサイトが今後12か月で稼働する予定ですが、

これらの資本集約的な活動により、9月末時点でDITO CMEの負債は1028.5億ペソに押し上げられました。

DITOは3月に「2年間は黒字にならない」と言っていましたが、これも想定範囲内の必要経費なのでしょう。

DITO CMEは、子会社のUnalytics、Acuity Global、LunaAcademyからの収益が来年2倍以上になると予想していると10月21日の仮想インタビューでBusinessWorldに語っていますが、

DITOテレコムについては2倍になると言っていませんでした。

そのDITOですが、最近の情報では、今期80億ペソのライツオファリングを実施する計画を明らかにしています。 

オファリング価格は1株あたり6.11ペソから7.00ペソで、今年12月中に実施予定のようですが、11月17日現在5.60ペソで取り引きされていることから、この価格は特に魅力的な価格とは言えません。

GlobeとPLDTはファイバー回線の拡大に注力!?

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2021年10月、Globe Telecom Incはパンデミックの際に光ファイバー接続の需要が急増したため、年末までに140万本の光ファイバー回線を確保を見込んでいると発表しました。

そのGlobeの第三四半期決算は固定および無線事業の業績の改善とその影響により、連結純利益は前年同期の159億ペソから13%増加して180億ペソとなりました。

期間中、100万を超える家庭用ファイバー回線を設置し、目標を上回り、通年で140万のFTTH回線を展開する予定であるとのことです。

家庭用ブロードバンドの売上高は、主にパンデミック主導の需要により、昨年に比べて15%増加し、224億ペソに達したと報じられています。

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一方でフィリピン最古の通信会社であるPLDT Incは経費の増加に伴い、第3四半期の純利益は59億ペソで、前年同期の74億ペソから20.3%減少したと発表。


最初の9か月間の総住宅収入は25%増加して353億ペソとなったとPLDTも家庭用ブロードバンドの利益が増加していました。


個人のワイヤレス収益は、期間中に3%増加して651億ペソとなり、データまたはブロードバンドが全体の80%を占めているようです。

DSL(デジタル加入者線)およびFTTH(ファイバートゥザホーム)サービスラインでの確固たる地位に支えられ、サブスクリプションによって固定ブロードバンドサービス市場でもトップに立つだろうと報じられています。

今年の100万人の新規ファイバー顧客の目標を超えると予想しているため、来年にはさらに「大きな成長」を見込んでいるようです。

GlobeはDITOよりコンバージICTをライバル視!?

2021年11月16日のABS-CBNニュースにGlobeの第3四半期の業績に関するオンラインメディアブリーフィング中に、

Globeの社長兼CEOであるErnest Cuは、どのDennis UyがAyala主導の電話会社にとって「より大きな競争」であるかについて尋ねられました。

このDennis Uyとは DITOとコンバージICT2つの通信会社の社長を指しており、2人は同姓同名の別人です。

「現在、コンバージはファイバープランの実行において非常に良い仕事をしていると思います」と、現在コンバージICTをDITOテレコミュニティよりも重要な競争相手と見なしていることをほのめかしました。

光ファイバーブロードバンドサービスを提供しているConverge ICT Solutions Inc.(CNVRG)は2020年10月にIPOを果たしました。

今期の決算も2021年9月末の純利益が約52億ペソで、前年比で136%の成長を記録し、昨年同期の収益は22億ペソの2倍になりました。

連結売上高は、2021年の最初の9か月で前年比76.4%増の188億ペソで、住宅事業からの売上高は前年比94.6%増で、9か月間でほぼ倍増して164億ペソになりました。 


コンバージICTは1,800キロメートルの海底ケーブルプロジェクトを完了し、2021年9月の時点で国内ファイバーバックボーンは90,000キロメートルにあります。

今後はルソン島のサービスの行き届いていない地域に深く入り込みながら、フィリピン南部のビサヤとミンダナオの新しい地域に展開していく戦略のようです。

そのコンバージICT(CNVRG)の株価ですが、

今年1月末に15.40ペソから10月6日につけた最高値45.40ペソまで190%上がりましたが、先月7、8日の2日間だけで15%近く下落しました。

これは米国のプライベートエクイティ会社WarburgPincusが保有していたコンバージの15%以上の株式の365日間のロックアップが満了したことにより大量の外国売りがあったと報じられていました。

なお、フィリピン証券取引所(PSE)のデータによると、10月11日から15日までに取引されたコンバージの株は合計50.4億ペソ相当の1億5,043万株で、価値回転率で1位にランクされました。

投資家は価格が以前のレベルよりも比較的魅力的であると感じたため、コンバージの株を積極的に取引されていたと報じられています。

これはコンバージがその堅実なファンダメンタルズを考えると、依然として信頼できる長期投資と見なされていることを意味しており、

多くのアナリストが今後も安定して上昇トレンドを維持できると考えているようです。

なお、コンバージICTはPSEインデックスの構成銘柄に含まれている他、

フィナンシャルタイムズ証券取引所(FTSE)のASEANスターインデックスにも含まれ、ADRを介して米国で取引されるため、今後も引き続き同社が世界的の投資家の注目を集めていくと思います。

まとめ

2021年3月に営業をスタートしたDITOの参入によりフィリピンのモバイル通信業界はGlobeとPLDTの複占時代が終わりましたが、

11月現在においては、まだDITOは収益化できるには遠いようです。

しかし、パンデミックにより需要が増加している家庭用ブロードバンドのファイバー回線においては、GlobeとPLDTが本格的に力を注いできており、その結果が第三四半期の決算に現れているように見えます。

それでもモバイルなしのファイバー一本で勝負しているコンバージICTを古豪Globeがライバル視しており、今後も多くの投資家から注目はされることは間違いありません。


関連記事:


引用:
https://news.abs-cbn.com/business/11/16/21/globe-hints-converge-bigger-competition-than-dito
https://www.philstar.com/business/stock-commentary/2021/11/11/2140542/dito-cme-announces-dito-tels-4-millionth-subscriber/amp/
https://news.abs-cbn.com/amp/business/11/12/21/globe-telecom-posts-p18-b-net-income-from-jan-sept
https://www.cnn.ph/business/2021/11/16/Third-telco-player-ops-drag-DITO-CME-to-net-loss.html
https://www.bworldonline.com/dito-cme-anticipates-revenues-from-units-to-more-than-double/
https://www.philstar.com/business/stock-commentary/2021/11/04/2138912/how-does-stock-rights-offering-work/amp/
https://www.bworldonline.com/higher-expenses-drag-pldts-net-profit-in-the-third-quarter/
https://www.bworldonline.com/profit-taking-prevails-after-converge-ict-lockup-period-expires/

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