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ホームベーカリー元年

2022年もあとわずか。一年を振り返って自分なりのイヤーオブ・マイ進化は何だろうか。真っ先に思い至るのはパンを手軽に焼けるようになった嬉しさ。きっかけは近所のお気に入りのベーカリーで定番朝食のトースト食パンを入手できない週が何度もあったこと。不意の臨時休業だったり、開店する週末に仕事や用事があり足を運べなかったり。この緊急事態に困り果てていたとき、一冊のレシピ本に出会えた。葉山一色海岸の料理教室「白崎茶会」を主宰する白崎裕子さんが著した『へとへとパン』(マガジンハウス)である。

発酵時間を要し、手間と時間がかかる小麦粉を主材料とするパン作りはとうてい自分にはできないとあきらめていた。しかし、白崎さんが伝える、米粉や豆乳ヨーグルトなどで焼くパンのレシピの多くは所要30分ほど。へとへとに疲れていても、限られた時間内でも作れるという。これはまさにぼく向き。材料を揃え、自分好みのパンから着手し始めた。

自分はヴィーガンではなく、グルテンフリー本位な嗜好の食生活をしていないけれど、米粉のパンは驚くほど手軽で、それこそ忙しない平日の朝ですらチャチャっと焼いてみようという気になれた。もちろん、いかにやさしいレシピとて段取り悪く不器用な自分は最初にはモタモタとまごついたけれど、毎朝のようにトライを重ねていくうち本当に30分内で焼けるようになり、好みのアレンジを加える余裕も出てきた。

ついには型で焼くパンも上手く旨くできたときは深い感慨に耽った。

何より焼きたてのパンは最高に美味しい。しかも白崎さんのパンは食べて身体がとても悦ぶ。その快楽を日々味わいつつも、ときどきは小麦粉のトースト食パンも楽しむ。そんなあんばいがぼくには心地よいみたいだ。とにもかくにも、いつでも自身で家でパンを焼くスキルが身についた2022年。人生を俯瞰しても、かなり画期的な年になったと言っても過言ではない。白崎裕子さんに深謝。

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