見出し画像

逗子小坪のマーマレード

朝食はパンが望ましい自分にとって、土曜日か日曜日の朝に近所の「ポコパン」で『トースト食パン』を買えるか、買えないかは大事な要件。

開店早々に完売しちゃう日もあるから、店の扉を開けるたびにドキドキしてしまう。無事2つ入手できたときは翌朝からの幸福なウィークデイを思い浮かべて歓声をあげてしまう。胸を撫で下ろしながら。正直に告白すれば、完売時のショックに耐えられず、近くの商店に移動して有名ベーカリーが卸す食パンをに手を伸ばすこともある。でも、いちばんの好みはポコパンのふんわり優しい味わいなのだ。そのなんとも穏やかな心地になれる美味しさは店主の材料を妥協しない頑固さと誠実さから来るものかもしれない。

そんな大好きな食パンは業務用ガスオーヴンで両面をじっくり焼き、四つ葉バターを乗せ溶かしていただく。シンプルな食べ方がベストと考えているが、手土産を買いに町内のデリカテッセン「GOOD STOCK」に寄ったときに逗子小坪で作られる評判のマーマレードが眼に留まり、久々に自作したジャム以外の「作品」をパンに塗ってみたいと衝動買い。

評判は信頼できる知人筋から伝わったものだし、作り手が営む小坪のカフェ「Minamicho Terrace」を親友が絶賛し、ぜひ訪ねた方がいいと何度も勧められていた。

この『小坪夏みかんマーマレード』はイギリス 湖水地方で開催されたマーマレードの世界大会
ダルメイン マーマレード アワード2022」プロ職人部門にてGoldを受賞したとか。葉山の夏みかんでマーマレードを自作したことがある自分としては世界最高評価の味はどんなものものか興味津々だった。

相模湾を望む高台の畑に立つ夏みかん。果汁が多い完熟期の4〜5月に摘んだものを果肉も果汁も丸ごと身体に優しい有機甜菜糖と和えてサッと炊き上げ詰めたそう。特有のビター感は希薄で、フルーツソースのような爽やかさ、心地いい甘さ。作り手のひだかなおこさんのセンスなのだろう。摘むタイミングと薄くカットした皮、砂糖の選択、炊き上げ時間に極意が潜んでいそうだが、自作したマーマレードと比して段違いの繊細な美味しさに深い感銘を受けた。丁寧な手仕事。自分にはない愛情が伝わってきた。親友に勧められ続けた、ひだかさんのカフェを近々に訪ねたくなった。ときどきレシピを明かす「夏みかんの会」を催しているようなので、その機会も逃したくないなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?