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恵比寿南詣で

恵比寿南と銀座で気になる展示があり、眼の肥やしにと快晴の連休2日めに詣でる。ずっと訪問を切望しているコーヒースタンドとオーガニック食堂が恵比寿にあるのだが、この日は臨時休業またはランチ無しのタイミング。こうまでふられると、縁が無いのだなぁと諦めの境地になる。

片想いなのだから仕方なしと「パシフィック・ファニチャー・サービス(PFS)パーツセンター」へまずは直行。無骨で丈夫、アメリカの格好いい道具、部材を主にした品々に眼が泳ぎ、高揚しまくりながら必需品の1点だけ求めた。

送料を払えば通販可能なアイテムなのだが、実店舗で実物を確かめて買いたかった。何より店内と周辺で構築される揺るぎない審美眼、世界観に直に触れたかった。ネットショッピングでは得難い実体験に心を激しく揺さぶられたい。そんな欲がまだ自分にあることを悦びたい(笑)。

2軒めはパーツセンター近くの「POST」へ。セレクトされたアートブックやスティーブン・ギルのプリント作品をいろいろ観たあと表のディスプレイをスナップ。使いこまれたパレットにポスターをラフに留め掲げるアイデアに魅了される。店主の美意識はパレットを立てかけた段差ブロックの佇まいと背景の自転車の配置にも働いていることを見逃してはいけない。無骨&ミニマルにしてモダン。パーツセンターに通じる、ブレないセンスに学ぶものは多い。

さらにPOSTと同じ通りにあるデザインギャラリー「SOMEWHERE TOKYO」を覗く。金沢を拠点に活動するデザイナー/アーティストの原嶋亮輔さん。古い道具と現在の工芸を合わせた作品が展示されていて、とりわけ箕を用いた『A Day in the Harvest』をじっくり愛でたかった。竹を編み組みしたこの箕は1965年2月(僕が生まれた翌月)に製作されたものだとか。

飴色に美しく育った雰囲気、存在感をモダンな金属フレームの造形が際立たせていた。息を呑み、工藝美にうっとりと酔う。心を潤す個性ショップが集まる恵比寿南。葉山に篭ってばかりではなく、ときどきは足を運ばなくちゃと改めて思う。

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