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潮風とウォール・ライト

南西風が強く吹くときは窓が白くなるほど潮水にさらされる我が家。竣工時、その玄関口に取り付けたのがルイスポールセンのウォール・ライト『アルバスルン ウォール』。

イェンス・ミュラー・イェンセンが1962年にコペンハーゲン郊外のアルバスルンド都市開発のためデザインした製品で、今なお製造、販売されている。そのロングライフを大事にする企業の姿勢と海辺に暮らすデンマークの海洋学者が自宅で愛用しているという記事に惹かれて購入した。20数年前の当時、三方が海に囲まれた葉山の岩礁地帯で借家住まいをしていたぼくは、潮風に耐える美しい外灯を望んで、去るときは現状に戻す条件で大家さんの承諾を得て設置したのだった。

さらに葉山の奥地に引っ込み、新居を構える際も当然ながらこのライトを移設。以来、ずっと温かな光を柔和に灯し続けてくれている。本体素材のステンレスとアルミ、白い粉体塗装の質が佳いからだろう。錆が浮いてくる気配はいっこうに見せず、優美な佇まいをキープ。深い藍に染まる夕暮れの情景に暖色のアクセントを添えるさまは毎日見飽きず、惚れ惚れしてしまう。ぼくの人生でイチニを争ういい買い物だったと心から思う。

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