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初漕ぎ

よく晴れた日曜日。葉山一色海岸から、やや強い西風吹く周辺海域を1時間ほど散歩。今年初のパドリング。

いくら春の陽があふれても、気温より水温が高くても、波に晒されるオープンデッキな艇。身体が濡れて風に吹かれるとそれなりに肌寒い。対策として、30数年来愛用するパドリングシューズにワークマンで購入した980円の『スキルソックス』を合わせてみた。

素材自体に暖かさは無いけど、生地の薄さが自分にはとても塩梅佳い。これを履けば乗船時、素足が砂まみれにならず、お気に入りの一足がさらに快適さを増した。

ネオプレン素材のこのシューズは甲高幅広な足にほどよくフィットし、目下のところ代替え品は見つからない。とうに入手不可な北米ブランドだからたいせつに履き続けよう。

手にはフォックスリバー社のフィンガーレスグローブを。10年前、極寒のNYで街をスナップ撮影取材した際、重厚なフィルムカメラの操作にうってつけと考えて、ブルックリンのジェネラルストアで入手したもの。しなやかに指を動かせる絶妙な厚さが至極心地良い。ウール素材だから濡れても温かみを失わないし、マメを防ぎつつスマホ操作など細やかな指の動きを妨げない最高のパドリング用グローブにもなる。

ウール靴下の老舗メーカー。北米ではフィンガーレスグローブも定番で14ドルほどのカジュアルな日用品だけど日本では代理店も扱わず、並行輸入品があっても高価。これも代替え品が見つからないなぁと思っていたら、信頼できるシーカヤッカーから英国ブラックシープ社製品が具合いいよ、というナイスな口コミが。楽天市場で3,000円くらいだから納得できる値かな。

アウターはパタゴニアの『スカノラック』。90年代のモデルで裏生地のコーティングは剥離しちゃったけれど防風着としてまだまだ現役。胸の大きなポケットが使い勝手良く、これも代替え服は見つからない「着る道具」。オレンジと赤の中間的な色合いが佳いんだ。たしか、「ロブスター」というパタゴニア独自のカラーだったかな。アメリカで生地を調達し、社内デザイナーと協働していた時代の名品。

下はパタゴニア90年代の『リバーショーツ』にやはり裏生地のコーティングが剥離した同社のレインパンツを合わせた。透湿性が損なわれてもパドリングウェアとしての役割は充分果たす。万一、生地が破れても自身で直すリペアキットが用意されてるから、まさに一生もん。

この日、漕ぎ出た目的は3月に葉山しおさい博物館にて催される「葉山一色海岸アート展」に展示する写真のスナップ。

参加者としては退会したイベントだけど、開催10周年を記念して過去のメンバーも一点出品を、というリクエストに応えて。散歩写真愛好家である自分らしいスナップを簡素にプリントする予定だ。濃緑の裏山と松林、春めくエメラルドグリーンの海水。眩い陽光。一色海岸らしい情景を紹介したいな。

ペリカンの防水ケースに包んだiPhone12miniで船上、海抜0mの視線で半水面写真をシューティングしたあと、近くの名島へ。鳥居を拝んで愛猫の回復を祈願。

アウトリガーカヌーを力強く漕ぐ女性たちとすれちがいつつ、さくっと一色海岸に還る。

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