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世界一好きな羊羹

父の日に贈るものを何にするか。今年は直接手渡すことになって、いつもに増して吟味し、いろいろ思案した。酒は最近止められているようだから、やっぱり好物の甘いものかなと和菓子に絞って地元のものから候補にあげていく。銀座や湯島の老舗のも佳いかなと考えたけれど、佃島に暮らしている父に江戸土産はどうかと。

そうやって受けとる人の笑顔を望んで贈り物に悩む思いめぐりって、こんなに心躍るものなのかと改めて気づき、自身も選択の逡巡を楽しんだ。で結局、自分の大好物にしようと心定まり、鎌倉での仕事帰りに北鎌倉「松花堂」に寄る。

世界一好きな羊羹「あがり羊羹」を贈答用に包んでもらう。電話で取り置きを頼んでピックアップに行く。そんなワクワクする買い物、久しぶり。当日の仕事がはかどって仕方なかった(笑)。

水羊羹みたいなプルプルの食感、喉を通るときのねっとりした感じがたまらない。そして、立ち上がってくる、ほどよくコクある甘さ。その気品にしばらく眼を瞑って心震えてしまう。

羊羹だけど、保存添加物が皆無な生菓子だから、日持ちは数日。と気づいたのは父に手渡したときだった。少し動揺しつつ、早めに食べてねと賞味期限を伝え、切り分けながら、ちゃっかり自分も口に運ぶ。もちろん、はじめからの企みではないんだけど、父に「美味しい」と笑顔を浮かべてもらい嬉しくなった。手土産の醍醐味ですね。

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