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動物園スナップの愉楽

ズーラシアと金沢動物園。横浜の動物園共通のパスポートを購入した。何度も足を運びたいと願ったのは、その都度異なるシーンに出会える偶然を楽しみたいと望んだから。

先週末は金沢動物園を初訪問。念願のヒガシクロサイと向き合うことができて感慨に浸った。森山大道さんのモノクロ作品で格好良すぎるフォルムに痺れ、心奪われて以来、ずっと写真を撮りたいと焦がれていた。

この日はたまたま至近距離まで歩き出てくれて、理想に近いアングルでスナップできた。けれど、この幸運は常時ではない。

その時々で動物の体調や気分は異なるし、タイミング次第では観られない、もしくは遠くにポツンと佇む姿しか拝めないかもしれない。

思い通りにはならないから、状況や仕草、光の強弱、訪ねるたびに全く違う場面に遭う。その気まぐれな偶然性が愉快だし、奥深い。

きっと自分なりに思うベストなチャンスを追い求めて、カメラ携えてしばしば通うことになるのだろう。

ヒガシクロサイ以外に最も魅了させられたのは中国四川省の山岳に棲むスーチョワンバーラル。なんと逞しく美しいツノを宿しているのだろう。

本来の生息域に見立てた岩場を移動するさまも絵になる。撮影者にとってはいろいろな構図に収まりやすく、距離感も絶妙だ。動物園の人工的設備をなるべく排してスナップしたい場合にはうってつけの動物だろう。

南方を想定した植栽にからむカンガルーも画面一杯に容易く捉えられる動物。いかに工業製品的な人工物を構図内に入れないかの練習に絶好の被写体だ。

植栽と動物のコンビネーション。これも金沢動物園でのスナップの魅力。たとえば、この日にたまたま咲いていた白梅とオオツノヒツジをパチリ。柵から少し離れて花を構図に取りこみつつ、思いきりボカして写してみる。スマホのカメラならもっと花にもピントが合ってしまうかもしれないけれど、肉眼に近いそのビジュアルもまたおもしろい。

こうして背景の樹木とともに切り撮ると野生の風景っぽくなる。

逆に人工物を意図的に取りこむと金沢動物園らしさを表せる。たまたま飛来してきた野鳥とJRの送電鉄塔、独特な色合いをした茶色の柵。

なんだか、急速に動物園スナップの醍醐味に取り憑かれてしまいそう。次回は光眩い快晴の週末に再訪し、ヒガシクロサイのモノクロ写真を撮りたいな。大道さん的なハイコントラストな陰翳を写したい。そのためのロケハンとしては充分な収穫を得られたファーストコンタクト。

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