見出し画像

石橋財団の美術館

マンハッタンのメトロポリタン・ミュージアム(MET)を訪ねたときの感銘が忘れられない。展示作品の選択と構成、配置。作品グループごとに背景となる壁を絶妙な中間色に塗り変える。高い美意識とセンスにため息が出て、通り一辺倒、単調な日本の公的美術館との違いにアート文化の大きな差を感じた。

とんでもない富裕者からの寄贈をメインに収蔵品が構築されてきたMET。同様にブリヂストンという巨大企業を創業した石橋財団のコレクションを披露する空間が東京・京橋にある。数年前、「アーティゾン美術館」としてのリニューアル直後に足を運び、METでの感服の数々を想い起こした。

壁色の工夫、創造性あふれる展示配置と照明、充実のコレクションとそのほとんどを撮影OKの体制。日本の美術館の従来スタイルとは異色で、欧米のそれに近い。理想の鑑賞状況に驚き、心踊った。

海の日、東京に出かけた際、予約してアーティゾン美術館を再訪。

新収蔵作品を中心に構成する『STEPS AHEAD』展。

モネ、マティス、セザンヌ、デュシャン、猪熊、コーネル、カルダーなどなど。大好きなアーティストの作品を独り占めで愛でてスナップ。自宅で眺めるようにくつろいで至福すぎる時間を堪能した。

ついさっき上野で眼にしてきたイサム・ノグチの石彫作品もある。

独りでいろんな角度から撮り三昧。上野では叶わなかった享楽を愉しむ。

オーストリア、アボリジニ・アートの素朴、力強い野趣に心震えた。佳い出会いの企画コーナー。

倉俣史郎デザインの快適ソファに身を鎮め、コレクションを超高精細スキャンする試みを拝見。未来のアートシーンを想像した。

深く深く満ち足りてリラックス。ビュースペースから京橋、真夏の光景にも見入る。職業技術校に通う自分は学生扱いで入場無料。その粋な計らいを抜きにして日本で最も惹かれる美術館だと再認識した。

#leicaphoto

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?