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おおらか巾着縫いで繕う
10数年前に買ったイラン・マースレー村の手編み靴下。買い付けは南青山の「グランピエ」が行っているけれど、これはそれらのなかから鎌倉「もやい工藝」がセレクトし、毎冬恒例の『あったか展』で扱う控えめな柄の一足。ざっくりした太い糸で編み組みされ、温かくて素足にとても心地よいのは手仕事ならでは。気持ちいいなぁと毎日、ルームソックスとして履いていたら、ひと冬で踵部に大きな穴が空いてしまった。見た目は丈夫そうだけど、意外と脆いなぁと思いつつ、化繊混紡のタフな国産製品にあっさりと代替えしたんだけど、あの快楽さは得られないまま、ずっと幾冬も妥協してきた。
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この連休中に暇を持て余し、捨てずに放置していた靴下をふと修繕してみようと思い立った。家にあった針や愛知の木玉毛織がオーガニックコットンを『ガラ紡』という古い機械で紡いだ糸を用意。はじめは格好よく縦横に整然とダーニングしようと考えたんだけど、大きな穴に怯んで即作戦変更。以前、アラン諸島のニット帽を繕ったときの『巾着縫い』を応用。この諦めと志向変換の速さが自分の美点だよなぁと自画自賛しつつ(笑)。
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とりあえず穴が塞がればOKなので、仕上がりの美しさなんてはなから期待していないし、上手くできるはずもない。再度綻んでも手が勝手に動くよう、なるべく簡素に、愚直に黙々と縫い留めていった。しかし、この繕いの集中時間のなんと楽しいことといったら! 不器用の極みであるぼくでも深い安らぎに満たされ、心鎮まった。修繕特有の悦びと醍醐味ですね。
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