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月島、サイゼの夜

佃島の実家にステイする晩は決まって隣町、月島の裏通りに佇むトラットリア「サイゼリヤ」をひとりで目指すようになった。前にも書いたが、周辺は幼馴染が暮らしていた昭和初期の長屋地域。郷愁を覚えると同時に、下町情緒あふれる半世紀前に還る懐かしい心持ちになれる。

ハウスワインを500mLデカンタで頼んでまずは喉をごくごくと潤す。赤ワインに合うつまみをいくつか決めてパスタで締める。

開放的な明るいオープンスペースとベンチシートの居心地が抜群に良い上、財布に優しい料金だから、あれこれ頼んでまったり過ごしたくなる。昨晩の滞在時間は1時間半と過去最長に。

隣りのテーブルに運ばれた薄生地のピザも食べたくなって最後に追加。なんだか孤独のグルメ、井之頭五郎みたいな自在な直観的オーダーの流れ。それだけサイゼに自分は馴染んできたってことなのかな。安くて美味い。このカジュアルな悦びと深い満足を洒落たイタリアンやビストロでも味わえるのか、今のぼくはその気がしない。

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