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石で遊ぶ

海から打ち上がるさまざまなものを拾う遊びビーチコーミングは見立ての遊びでもあります。

三浦半島最古の地層が露わになる、仕事場近くの野比海岸で昨年末に出会ったのはハンバーガー🍔のバンズに似たフォルムの石。穏やかな丸みと、スベスベの石肌が心地よく「美味しそう!」と喉も鳴りました。実際、その日の昼、10数年ぶりくらいにマクドナルドへ向かったほど心に響き、食欲をかきたてられる、魅せられたかたちでした。

折しも、マクドナルドのユニークなキャラクターを調べていたら、クラシックなバーガーを模した愛らしきハンバーガーパッチを見つけ、ポップな表情に心奪われました。

70〜80年代にマクドナルド内の子ども向け施設「プレイランド」でディスプレイしていたアイテムで、現在は北米、そして日本のコレクター間で高額取引きされているようです。ぼくはマクドナルドが1971年に日本初上陸を果たした銀座三越脇の第一号店でアルバイト経験があるのですが、記憶に無いので北米限定の彫像だったのかもしれません。ザ・アメリカンな色味と何ともとぼけた顔に強く惹かれたものの、縁遠き高値の華。ならばと、拾ったバンズ型石でキャラクターを写すことにしたのでした。

思い立ったらすぐ実行。葉山町と横須賀市秋谷の境界に立地する長者ヶ崎近くの久留和海岸へ仕事後の帰宅途中、日没間際に寄りました。

お目当ては、この浜に多数打ち上がるサザエの蓋。眼となるパーツに相応しいと考え、石とのバランスを念頭にほど良いサイズと少し緩くヘナチョコ気味に見える造形をピックアップ。さらに1ペアのみに選び抜いたのですが、この厳選行為にぼくは至福の充足を感じ、喜びます。しかし、なんとまぁ皺だらけの掌よ。もうすぐ59歳、身体は老人そのもの。

奈良「古梅園」の硯と筆、墨、倉敷硝子・小谷真三さんの水滴で眼球を描く。

なんと大げさかと笑われるかもしれませんが、この風雅な所作が自分の遊びには大事なのです。写真を撮ったら、濡れる眼に水滴の澄んだ青緑が映っていてびっくり、うっとり。

Gorilla (ゴリラ) 強力瞬間接着剤ジェルで石に貼り付けて完成。割れ目を口に見立てて、情けなさもほんのり漂わせながら、瞬間的、直観的につくる。こういうプレイはあくまでさらりと楽しむのが佳い塩梅ですね。ファンシーではなく、ポップと自己評価して居間に飾りました。

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