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アルバースと神の眼
千葉県佐倉のDIC川村記念美術館でジョセフ・アルバースの授業を受けて一週間が経過。色どおしの関係と視覚の不思議を学び、体感し、悦び、いまだ深い深い余韻のなかに居る。これ以上、関心が強く呼び覚まされるような機会は今後あるのだろうかと脱力感に包まれている。それくらいインパクトのある企画展示であり、ラーニング・プログラムだった。
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アルバースは大学での授業あるいは自著にて、正方形讃歌をはじめ作品で配置した色の秘密を追求し、明かし、伝えているのが凄い。
隣りの色の選択や全体の色配置によって同じ色が濃く、あるいは薄く眼に映る。実際は色が透けていないのに、そう見える。人の眼はこんなにも危うく色を認識しているのかと思い知り、呆然となってしまう。色が視覚にもたらす作用についてアルバースはどれだけのトライ&エラーを重ねて真理を発見したのだろう。長く奥深い探究の道のりに想い馳せながら『配色の設計』を読み耽った。
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たとえば隣り合う色をどう選ぶか。数週間前に月桃の葉紐で作った招霊装置『ガラガラ』のメキシコ版『神の眼(Ojo de Dios)』を手がけることで気づきたいと願い、試みた。
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アルバースは自分の好きな色は何か、知ることが大事とも説く。『神の眼』の正方形を3色で構成してみようと考えたとき、枯れた草葉の風合いに近い渋くてナチュラルな色味の糸を選んだ。これはまさしくぼくが強く惹かれる色だ。
色の関係性なんて無視。ド派手な色好みなラテンガールが優しく易しく教えるYouTube映像を観てから繰り返し、竹ひごに糸を巻いていく。これはどんな不器用者でも、子どもでも簡単、確実にそれなりの仕上がりになるのが良い。単調だけど、達成感はとても大きいDIY工作だ。
あまりにもスムーズに進んだので、調子に乗って装飾用のタッセルまで自作。これも超簡単。YouTube先生ありがたし。
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じゃーん、シックなマイ『神の眼』の出来上がり。所要30分ほど。黄土色、薄いピンク、乳白色という同じ明るさの淡い3色の糸を濃い色を中心に外側に向かって薄い色を配置した。これにより色の境界が立体的に、しかも徐々に消え入って見える視覚効果を狙ったのだが、どうだろうか。外枠の乳白の幅をあえて狭くしたのもアルバースの教えに倣い、意図したのだが。
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窓辺に吊るして逆光で眺めると、色が暖かみを増したように。これは太陽光の影響による色温度の変容なのだろうか。
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さらに強い光を背後から受けると3色は同化し、色の差異が消え去った。タッセルはこの3色を混ぜて作ったのだが、色と形の雰囲気を真鍮のベルに似せてみた。その近似性もまた色の視覚具合に働きかけるらしいと学んだので。
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ベルと『神の眼』は粗く太めに撚った月桃の紐で吊るしてみた。制作テーマはメキシカンみたいにおおらかに、アバウトに。無意識で。
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天井に葉紐をユラユラと風に揺れるように留めたかったので、金具はスガツネ工業の『ステンレス鋼製スイングフックUC型』を使用した。このフックの造形、質感がたまらなく格好いいのでテンションが上がるぅ。
ふふふ、昼間は海風にゆらめくさまに。
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夜はシルエットの妙にうっとり。配色がどうのなんてぬかしながら、じつはこの景色に酔いたかっただけなんです(笑)。ヴィヴァ、適当なDIY。またまた、自己陶酔。
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